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【激震】医療や介護に携わる人に知って欲しいニュース

いつもの内容とは異なりますが、ちょっとびっくりしてまして、こちらのニュースについて投稿したいと思います。医療介護に携わる人には是非共有したい内容です。

判決で、認知症の男性から目を離せば、勝手にトイレを出て転倒する可能性が高いことが「十分に予見できた」と認定した。また、男性の状態と、別室患者がおむつに排便すれば問題がなかった状況などを比べ「優先しなければならなかったとは認められない」と指摘。男性は事故で寝たきりとなり、認知症が進んで両手足の機能全廃に至ったと認めた。

神戸新聞next記事より一部引用

✳️本裁判の私の解釈です
87歳の認知症の患者が、トイレで転倒することは看護師は予見出来た。また、トイレ付き添い中に別患者から排便希望の要請があったが、その別患者にはオムツ排泄という手段があった。看護師が、この認知症の患者から離れることは、その間に認知症の患者が転倒することは予見出来たはずとして判決に至った。

認知症、尿意や便意からのトイレ動作

入院、入所での転倒事例の要因の上位です。
次に、環境の変化や筋力低下、服薬の影響などでの転倒が多いです。

この事例は、早朝6時の事故ということで夜勤帯。夜勤は一人のスタッフが10名~多い時は20名近く担当することも有ります。現在は相談や対応や休憩を円滑にするために、ペアを組んで(2名)働く所も多くなりました。その代わり担当する患者数が増え、ペアの2人で20名前後の患者さんのケアにあたるイメージです。病状が不安定だったり、認知症で常時付き添いや監視が必要な転倒リスクのある患者さんを担当する場合は、負担を均等にするために、現場の裁量で担当を調整したりすることも有ります。
✳️その施設の看護体制、看護料にもよります

認知症の方は環境の変化に影響を受けやすく、入院はストレスがかかり、普段しないような行動を取ったり、興奮したり、話が通じにくくなったりします。
排泄の欲求は、「生理的」なものなので、「突然」であり、「自分のスタイル」があったり、「我慢の出来ない」欲求です。ナースコールで呼んで頂いても、看護師は座ってナースコールを待っている訳ではありません。何か作業、対応中で、ナースコールで呼び出しを受け、それを中断して、訪問しているのです。

現在は、認知症の方には安全センサーが設置されていることも多く、ご本人がナースコールを押せなくても、もしくは押さずに行動しても、センサーが作動して看護師に連絡が行くようになっています。

その場合、既に対応介入中の患者さんには、
「ちょっと離席しますね」だし、
要請してきた患者さんには、
「お待ちください」になってしまう。

これが現状です。

2つのことは同時に出来ませんから。

他の看護師が行けばよくない?

他の看護師はチーム(担当患者の分担が別のグループ)が異なるため、率先しては行きません。
というか、行けません。
自分の担当があくまで優先されます。

転倒リスクのある患者からは離れない

これはどこの施設も基本姿勢としていると思います。

でもどうでしょうか?
現実的でしょうか?

ナースコールがガンガン鳴るなか、
ひたすら一人の患者さんとトイレにこもる。
トイレだけに意識を集中しておく。
出来るでしょうか?

もし、他の患者さんが急変したら?
もし、目の前で他の患者さんが転びそうになるのを見かけたら?

危ない。ってなると思うんです。
そしたらトイレの患者さんは、
同じように転んだでしょう。

別患者には、オムツ排泄をさせれば良かった

そのような解釈の判決にTwitterの看護、介護業界からは、「非倫理的」尊厳をかく内容だと批判が高まりました。

排泄行為の欲求は人それぞれ、好みもそれぞれで、痛い思いをしてでも歩いてトイレに行き、トイレで排泄したい、という気持ちになる方が殆どです。無理をされて転倒してしまうのも、この欲求から。

そんな基本的な欲求に対して、オムツ排泄を促すことは、その方も受け入れられず拒否される事は容易に想像がつきます。また、看護(介護も同じ)者として、そういったことは習ってきてませんし、むしろ尊厳やプライバシーの配慮について教えられてきています。

少し話は反れましたが、

非常に現実的ではない、判決と内容だと思いました。現場の状況からすれば、起こりうる事です。起きないほうが良いことは皆解っています。でも、必ず防ぐということが出来ない、看護や介護の限界というものが有ることも、知って頂きたいです。

人員が充足、いや飽和状態になったとしても、24時間付き添い監視をしておかなければ100%は防げない(それでも100%は難しいかも)という事を、許容し理解して頂きたいです。

でなければ、この結末は、
看護師のなり手不足を加速させ、
魅力の無い不人気な職業になっていくでしょう。

自宅を出れば、共同共生の社会です。

一定の許容は、
伴うものだと私は考えています。


2020年コロナ禍に開業した看護師です。ワクワクが止まりません。Withコロナはまだ続きますが、継続していけますように応援お待ちしております。