詩】アダルとチルドレンに捧ぐ

完璧でなくてもいい 君はよく戦った
側から見れば非力な猫パンチのシャドウ
堪えた笑いの余韻を生かした表情で声をかけた

君は生まれてこのかた絶望感があると仰(おっしゃ)る

まるで今日の夕焼けは突然変異で熱を持っており
触れれば焼き殺されるのでははないかと
赤子の頃に思ったと

母の声がベランダから聴こえても
差し込む光の粒には意志があり
自分だけがその熱に焼かれるのではないかと心配する

ごく一般とされる分かり切ったことが
恐怖で分かり切れない
なればとは云え今度は思考が飛躍し過ぎる

電気が付けられない薄暗い部屋で
泣いても泣いても母は来ないという
そこで泣くのをやめた赤ん坊かもしれないと

自己開示が強烈だね 君みたいな人は知り合いにいるよ

多分 今の君はこう絶滅している
すでに多くの人生の時間とエネルギーも失った
十中八九 もう人並の夢は叶わないだろう
これから望ましいものに触れることもないだろう
後悔とともに歩み
それでも誰かの人生よりはマシだと
渇きに任せて塩水を飲み干す

脳内活動で云うところの
君のアクセルとブレーキは同時に踏まれ
高負荷により部品は焼き切れていた
クラッチ盤をすり減らしたであろう情熱の
何十年も前に存在した熱量を証明できない
君は何処へも行けていない
忘れ得ぬ疲労怒りが君に蓄積されている
笑っている姿の君が恐ろしい

言い過ぎてしまった ごめん

まあ 安心してください
それら暗い思考は実際の未来ではなく
かといって現在ですらない
過去から焼き回しされた思考の妄想でしかない
今この瞬間から自由なはずだ

あー助手よ クリームパン買って来てください

えー(渋々)

もしも…君がまだ自分の人生で復讐を試みるなら

頭の中で自分の背丈ぐらいの
丸いピンクのスポンジのような物体を思い浮かべて
そいつを思いっ切り蹴飛して
想像の中で怒りを解消しよう

ピンク玉は蹴った感触がないくらい軽く
100メートル先へブッ飛んでいく
そいつに追い付いて蹴飛ばす
走る蹴るを繰り返す 追撃 追撃 楽しいな

ピンク玉はびっくりして ムッとするんだけど
すぐ笑顔にもどる 痛くも痒くもないからさ

もういっちょ!

はい、もういっちょ!

どうだ 怒ることがアホらしくならないか!(ニカッ)


…汽笛が遠くの方から聴こえる

機関車がこちらに近付いて来ている!?

(テーテーテレッテ テテテテー♪)

何をしている逃げないか!

君は線路に立っているぞ!

クツが引っかかって!?

そんなもの脱ぎ捨てろと言うに!

えっ助手 クリームパン買って来た ありがとう

ワシャポ!ワシャポ!(機関車)

機関車に轢かれる前に帰還者となれ!

クリームパン 君の分もあるのだぞ

お先にいただきます あーコレコレ美味いんだ


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