詩)黙祷

夏に親戚が大祖母の家に集い

茶の間に女集が集まると

行儀の良く無い座り方をして

男集にはおおよそキョウミのない話をペチャクチャとしている


私は独り縁側にて団扇ですずむ

他は釣りへ行くようだ


あるとき祖母に私は自死したいと云うと

初めはゆるく咎められが

終いには勝手にせいと呆れられたことがある

それに似た情けないことをうっかり口にしないように

今日は大人しくしていよう

(私は競争が嫌いだ

負けず嫌いで理屈が通らない父のことが恐いように

他の雄の誰もが自己の縄張りの侵入者に

石を投げるほどに思い切れることが怖い

そこを去る者は何処へ行くやら

ご機嫌を伺いわざと負けるように何度も手を抜いて

いつしか本気を忘れてしまっていた


人に知られず勝利し ほくそ笑む顔も暴かれず

神経の鈍化を悟られず よって多分 貶められず

人に嫌われない 夢のような座は天国にはあるか

否 そのような軟弱者はきっと菩薩道さえ歩けまい)


随分と大人しくはない妄想だ

しばらくして そうめんが出来たと呼ばれる

わざわざ出汁の卵焼きを細く切らんでも

私がしない することのないひと手間

今日は賑やかやねぇ

愛想をよく声を発する為だけに

私は嘘にはならない状況だけを口にする



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