詩)埋もれ火の喫茶店

トーストを斜めに2分したような細長い敷地に

これまた趣味の古い色壁の喫茶店がある

午前8時 すでに多くの車が止まっており

これが全部 爺さん婆さんの車かもしれない想像すると

少子高齢化のことを想って溜息が出た

答え合わせとばかりに入店

ほらな 一番奥の席

集会中のゴッドファーザーたちには背を向け

その手前のパーティションのある席に座る

向こう正面にカウンターと厨房

意外や意外 コーヒーを作っているのは

黒々とした髪の働き盛りの男だった

しっかりと顔のヒゲを剃ってある


注文を聞かれ迷わずブレンドを注文する


ズシンと腹にくるコーヒーと

これまた濃いドレッシングのサラダ

トーストは普通だが

ボヤけた味でない 店やもんの味


一息ついて顔を上げると家族連れが会計に席を立つ

レジの側ではポケットに手を突っ込んだ息子さんが

せわしなく揺れながら会計が終わるのを待っている


モーニングを食べ終えると

水腹にならない程度の熱いお茶が出された

そうか この店も戦っているのだ


窓の外 道を挟んで向かいにあるカーショップ

いかにも売れ残りのヤンチャ顔の軽四が6台

ハイエナのような顔を並べている


完)埋もれ火の喫茶店




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