見出し画像

花束

夭折した歌人笹井宏之さんの一首。


ひきがねをひけば小さな花束が飛びだすような明日をください


この歌にはじめて出会ったとき、うまく言えないけれど、うわあ好き、と思った。

笹井さんの歌は、笹井さんのいのちそのものから、ぽとりぽとりと落ちたような歌に思えた。
ただそこに、そういうかたちで落ちてくるほかない歌に思えた。

こんな歌が、私のいのちそのものから落ちてくる日があるだろうか。

花の咲く季節にいて、この歌が小さな花束をいつまでも私に差し出してくれている。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?