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『最初の質問』の答えを考える

こちらの詩集。

詩集『最初の質問』(講談社)

詩、長田弘さん。絵、いせひでこさん。

長田弘さんの詩と、いせひでこさんの素敵な絵の詩集です。この「最初の質問」という詩は、教科書に載っていたこともある、広く知られた詩だそうです。
いくつかの「質問」が書かれているのですが、今日はその「質問」への答えを考えてみたいと思います。全部の「質問」への答えではありません。いくつかピックアップして答えていきます。

でもその答え、もしかしたら答えるたびに違ってくるかもしれません。それくらい、答えるのに「う~ん」と考えてしまう「質問」です。
「今日のところは、こうです」という感じで答えていきますね。


〈質問〉
あなたにとって、いい一日とはどんな一日ですか。

〈答え〉
穏やかに無事に終わった一日。
何かひとつでも、やりたいことができた一日。


〈質問〉
樹木を友人だと考えたことがありますか。

〈答え〉
友人と思ったことはありませんが、親しみや安心感を抱く樹木はあります。


〈質問〉
「うつくしい」と、あなたがためらわず言えるものは何ですか。

〈答え〉
動物の眼差し。葉っぱに付いた水滴。朝霧。窓から差し込む光。夕焼け空。月光。シューベルトとモーツァルトの音楽。


〈質問〉
好きな花を七つ、あげられますか。

〈答え〉
紫陽花、桔梗、桜、菫、苧環、ラナンキュラス、カーネーション


〈質問〉
あなたにとって「わたしたち」というのは、誰ですか。

〈答え〉
使うときによって異なりますが、ある輪の中に一緒に収まっている人。
その輪は、何かに対する考え方の時もあるし、人間関係で近しいものを言うときもあります。大きくとらえると、同じ地球人とか、同時代人ということも。


〈質問〉
何歳のときのじぶんが好きですか。
上手に歳をとることができるとおもいますか。

〈答え〉
特に何歳の時が好きというのはないですが、自分を嫌いだとは思っていません。
歳は、これから年老いていったときに、老いを自覚して、老いた自分を受け入れることができればいいなと思っています。それが上手に歳をとるということでしょうか。


〈質問〉
世界という言葉で、まずおもいえがく風景はどんな風景ですか。

〈答え〉
茫漠と白っぽい空間。何かあるんだけれど、すぐには見えないような、果てのない場所。


〈質問〉
沈黙はどんな音がしますか。
じっと目をつぶる。
すると、何が見えてきますか。

〈答え〉
沈黙は、心臓の鼓動。
目をつぶると、冬の故郷の風景が見えてきました。


〈質問〉
問いと答えと、いまあなたにとって必要なのはどっちですか。

〈答え〉
答えです。たぶん、いろんな問いは今までしてきていて、今は答えを探す時間。


〈質問〉
これだけはしないと、心に決めていることがありますか。

〈答え〉
卑しい振舞。


〈質問〉
いちばんしたいことは何ですか。

〈答え〉
伸び。思い切り伸びをして、これを書きたかった、というお話を考えたい。


〈質問〉
人生の材料は何だとおもいますか。

〈答え〉
好きだと思った忘れえぬものたち。ほしいと思った憧れのものたち。愛情をかけてくれた大切なものたち。


〈質問〉
あなたにとって、あるいはあなたの知らない人びと、あなたを知らない人びとにとって、幸福って何だとおもいますか。

〈答え〉
知らない人びとの幸福は、知らない人びとの中にあります。これ、とは言えません。それでもたぶん、笑顔でいられることではあるかな。
私にとっての幸福は、う~ん。ごはんが美味しく食べられる心境のとき。
大切なひとやものが、痛くなくて嬉しいとき。


〈質問〉
時代は言葉をないがしろにしている
あなたは言葉を信じていますか。

〈答え〉
信じたいです。
ただ、言葉って同じ言葉でも人によって、その言葉に対して感じ方が違う。本当に、こちらが発した言葉(意図)がそのままそっくり相手に伝わることって、案外難しいと思います。それでも言葉には、ちゃんと向き合えば伝わる可能性がある、と信じています。
また、信じるといっても、自分に向けた言葉なのか、他者に向けた言葉なのか。コミュニケーションのための言葉なのか。自分は言葉をもっている存在であるから、その言葉で何ができるのかできないのか、考えます。
適当に言葉をつかっていないか、どきっとします。



質問と答えは、以上です。
なかなか答えるのに考え込むものが多いですね。
この詩集は挿絵が本当に素敵なので、書店で見かけたらぜひ、開いてみてください。
長田弘さんの、日常に穏やかに存在する詩が大好きです。

















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