「不適切動画」の事故リスクはイメージダウンの比ではない

 バイトテロなど、あいつぐ不適切動画は企業リスクの視点から問題視される。バイトテロ対策として、「ネット炎上対応保険」も発売されたそうだ。

 しかし、大きなリスクはほかにもある。警備会社の社員による悪ふざけ運転の投稿、時速280キロの暴走動画、線路上でのダンスなどは、一つ間違えば大きな事故につながる。

 ここにもまた、「期待に応えなければならない」という若者特有の心理が潜んでいる。10代の若者は車を運転するとき、同年代の友だちに見られていると2倍のリスクを冒すという研究結果がある(拙著『「承認欲求」の呪縛』新潮新書)。実際、若者の無謀運転による交通事故は、たいてい仲間と同乗しているときに起きている。しかもネットは「観客」が多いだけに、いっそう大きなリスクを冒すようになりかねない。

 「バイトテロ」のリスクは生命の危機に直結するものではない。それに対し、命のリスクを冒すことそのものをウリにする動画投稿がエスカレートするのは、社会的にいっそう有害である。そのことをもっと強く認識すべきだろう。

https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0228/blnews_190228_1287332335.html

「個人」の視点から組織、社会などについて感じたことを記しています。