見出し画像

ニュージーランド生活の終わりに

 あと2日後にニュージーランドを出国する。今でしか書けない文章や気付きがあると思うので、特にまとまっていないけど記録を残しておく。以前の記事と重なる部分も多々あると思う。

 結局NZには1年9カ月いた。渡航する半年近く前まで半ばひきこもり状態だったので当初は3-4カ月もてば良いかな、嫌なら2-3週間で帰るかもなという気持ちでやってきた。それでも渡航する日の朝になり「やっぱり行くのやめようかな」と思う始末。そんな感じで何となくパジャマみたいな格好で新幹線に乗り、飛行機に乗り、翌日の朝にはオークランドに到着していた。当初は「来てしまった」という感覚すらなく、でもどこか場違いな感じもしていてた。なかなか人に話しかけることもできず、笑顔も不自然で、何となく窮屈だったのを今でも覚えている。

 今ではそんな当初の自分自身のことをとても懐かしく思う。この1年9カ月の時間が長いか短いかは何と比べるかによって変わるけど、少なくとも当初の自分を「あんな時もあったな」と客観視して、当時の後ろ向きな気持ちを肯定できるほどには十分な経験ができた。何となくピアノを弾き始め、自分の酒に溺れていたり引きこもっていた過去を人に話すようになり、人々と時間を共有することのかけがえなさを思い出せたから。何度もNZの大自然に息を呑み、その度に今生きていることの幸せを肌で感じることができたから。

 勿論苦しい時期もあって精神的に不安定にもなったし、それを自分で乗り越えたのかどうかはよくわからない。その度に心優しい人々に恵まれて、こうして今日ここにいるだけのことだ。NZでの生活を通してとても運が良かった。そもそもここに来られたのも、本来なら無効になったはずのビザが復活したからだ。困ったときはよく「自分の力で打開しよう」と戦いたくなるものだし、そのエネルギー自体は生きていく上で必要なものかもしれない。でも同時に自分の力ではどうにもできないことや偶然の何かが、その後の運命を大きく左右することもあるな、と改めて実感した。

 今はまだNZを出ることに対してそこまで感情的になっていない。スペイン、メキシコと住んで来た経験からなのか、年齢を重ねたからなのか、NZであまりに多くの出会いと別れを経験したからなのか。どれも当てはまると思う。1度ここを出たとき、或いは以前いた場所や生活に戻ったとき、誰かと再会したとき、改めてここで過ごした時間がスペシャルだったことを実感することになるだろう。
 
 この1年9カ月という時間、そこで関わった全ての人々、遠くから応援して下さった全ての人々、そして1歩踏み出してここでの生活を続けた自分自身にも感謝している。素敵な時間を過ごすことができてとても幸せだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?