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企画参加:思い出の料理

思い出の料理…
夫は食べることにこだわる人なので、思い出の料理をあげれば、多分きりがありません。

夫と初めて行った和食処。
何度も食事をしている、和歌山マリーナシティホテルのイタリアン…
3回目の結婚記念日に、サプライズでごちそうしてくれた、梅田の高級イタリアンから…

よく通った近所の居酒屋、定期的に行く和歌山の中華そば…
もう本当に、色々あるのですが。

あえて「思い出の料理」といえば、だし巻きでしょうか。

話は、今から16年前にさかのぼります。
2008年、4月…
念願かなって、超絶元美少年の夫と付き合い始めた頃です。

その日は夫の仕事が休みだったので、お昼前に夫の住むワンルームマンションを訪ねました。
話の流れで、私が仕出し弁当の「だし巻き」が好きだと言うと…

「俺、だし巻き卵作れるで。作っちゃろか?」

と夫が言いました。

いや、卵焼きとは違うんですよ。
あの、お箸で切ったときに、だしが「じゅわっ」とあふれる、あれですよ。
まさか、作れるんですか?

「だし巻きはな、まぁダシ引いて作ったら最高においしいけど、うどんだしでも作れるねん」

夫は、こともなげに言いました。
え!?うどんだしで…!?
私は半信半疑でした。

「今日のお昼、だし巻きにしようか?」

と夫が言ったので、作ってもらうことに。

その日のお昼。
夫は冷蔵庫から卵を4つ取り出し、片手で割りました。
まず、そこにびっくり。
卵を片手で割るって、あなたプロですか。

…そういえば夫は、調理師学校を卒業して、調理師免許を持っていました。

卵の入った容器に、夫は市販のうどんつゆ(袋に入っているやつ)を、ドバドバと加えていくではありませんか。
…うどんつゆ、そんなに入れて大丈夫なんですか!?

「要はな、うどんつゆの割合が多いのが茶わん蒸し、ちょっと少ないのがだし巻きやねん」

言いながら夫は、卵焼きフライパンをコンロに乗せ…
キッチンペーパーで油を敷いてから、卵液を「どばっ」とフライパンに入れたのです。

「えええ、そんなに卵入れて、大丈夫なん!?」

卵液はシャバシャバ。
こんなんで、ちゃんと焼けるんだろうか…

「いけるいける、最後にちゃんと形になったらそれでいいから」

もうあとは、見ていることしかできませんでした。
鮮やかな手つきでフライパンを振り、菜箸で器用にだし巻きを作る、夫の姿を。

完成しただし巻きは、見事な形になっていました。
まさに、仕出し弁当のだし巻きそのもの。

「いっぺん、食べてみてよ」

夫は、ちょっと得意げでした。

お箸で切ると…
だしが「じゅわっ」
これはまさに、仕出し弁当のあのだし巻き、いやそれ以上。

「何これめっちゃおいしい」

「そやろ。料亭で仕事してた頃、まかないに作らされたからな」

いやはや、あの時のだし巻きの味は、今も覚えています。
本当においしかった。
というか、夫が私のために作ってくれた、というのも嬉しかったのです。

それ以来夫は、ちょくちょくだし巻きを作ってくれるようになりました。
材料は、毎回目分量なのに、それでもちゃんとおいしいのです。

こだわる時は、鰹節と昆布でだしを取ってから、だし巻きを作ってくれたこともありました。
あれは天にも昇るおいしさだったなぁ。

ですが私にとっての思い出の料理は、ワンルームマンションの狭い台所で、夫が作ってくれた、あのだし巻きなのです。

だし巻きはその後「夫婦喧嘩の解決アイテム」にもなりました。

ちなみにトップ画像は、だし巻きを作る夫です。
もう12年ほど前の写真です。
夫、この頃から全然変わってないなぁ。

推しがいる今日も世界は美しい!!

#仲良し夫婦サークル

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