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【1】迷求空間〜Covid-19 感染拡大

2021年の年末にはCovid-19の感染拡大収束が見えたように思えたが、医療関係の専門家の議論に耳を傾けると2019年以前の生活に数年内に戻ることは難しそうだ。With Covid-19の生活に慣れ始めてきたころに収束すると考えて良いだろう。2020年以降政府から積極的に発信され続けてきた生活様式の転換について、With Covid-19のAfter Covid-19の暮らしを継続的に考え、具体的に計画する必要がある。

感染症拡大を避けるために生活様式の標語として「ソーシャル・ディスタンス」という言葉が掲げられ、市民は離散的な生活を余儀なくされている。しかし、ICTを活用すれば集まることなく、離散的に仕事ができることへの理解も進んだ。もちろん、これは農林水産業やサービス業(一部は無人システム等の導入で対応)には当てはまらず、多くがオフィス・ワーカーに該当する。

オフィス・ワーカーの仕事の拠点は密集した中心市街地に位置しており、混雑した鉄道での通勤し、隣り合わせにデスク1台分の距離で勤務していた。現在はCovid-19感染拡大により自宅での仕事を余儀なくされている。本来は職住近接の生活に対応していない間取りや機能と広さの住空間である。学生たちの休講、保育園幼稚園の休業、共働きの在宅ワーク等、住宅内部は密集した状況にある。2021年8月や2022年1月から感染力の強い変異株の出現により家庭内感染の数がさらに爆発的に増えた。

働き方が多様化することは思い思いの暮らしを実現するために前向きな面もあるが、パンデミックの中では制約でしかない。都市は社会と時代の要請により新陳代謝するものだが、本来は15年〜30年単位で徐々に変化するものである。急な対応を迫られて対応が追いつかない。新薬や医療技術の開発によるブレイクスルーに期待しつつも、すぐには収束しないという予測を踏まえ、すでに起こった未来にふさわしい新しい都市空間像を捉えたい。

次回『【2】「知識産業時代の都市像』に続く

Illustration by Genta Inoue


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