「不一致」

 深い夜とは、結婚を考えているのか彼女に聞いて、分からないと返ってくる。そんな夜かもしれない。

 少し間をおいて、特にこだわりはないの、してもしなくてもどちらでもいいの、と彼女は付け加えた

 話は長く続かない

 彼女はあなたは?と聞いてはこなかった

 代わりに「またね」と言って離れていった彼女と、次会う約束はしていない


 私はできるだけ高いところに登った。てっぺんから見る景色は見渡す限り光の粒が散らばっている。一粒一粒が鼓動のように揺らめき、輝いていた。
 それを見ていた誰かが「綺麗」と言葉を漏らす。

 嘘のない言葉は美しい
 だけど、
 私は同調しない
 光って見えるだけで
 綺麗に見えてしまうのが
 とても怖くてたまらなかったから

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