創作エッセイ(13)インディペンデント作家は表紙に泣く

絵師の難しさ

 Kindleでセルフ出版をすると費用は一銭もかからない。ただし、通常なら編集なり出版なりがやってくれる校閲なども自分でやらなければならない。これがなかなか神経を使う。
 幸い新聞系の広告会社にいたので、共同通信の記者手帳とか持っている。そのおかげで、なんとかそこはクリア。
 電子書籍形式のE-PUB3というファイル形式は、まさにWEBサイトを構築するHTMLのソースとCSS(カスケーディング・スタイルシート)をいじらねばならない。
 幸いにしてこれも、広告会社でWEBディレクターを経験していてサイトの構築などもしていたので何とかクリア。横書きを縦書きにしたりとかもソースでなんとかできた。還暦過ぎた高齢者にしては我ながらえらい、とほめておく。
 最後に残るのが表紙である。本来ならWEBの創作界隈に声をかければいいのだが、昨今の絵師さんたちはほぼすべてがアニメ絵なのだ。これではイメージが合わない(私のような高齢読者には)
 実際に、知人の好意で作ってもらったこともあるけど、それだけにダメ出しできなくて不本意だったりする。
 希望は、かつてのノベルスで一世を風靡した生頼範義画伯なのだ。でも画伯は故人だし、ご存命でも頼む金はない。何とか無料でやりたいわけよ。
 そこで、目を付けたのがパブリックドメインになっている名画の数々。作品をイメージさせる神話や宗教色のある作品を探しまくって見つけたのが、ルイス・リカルド・ファレロという19世紀のスペインの画家。
 それが、これ。「不死の宴 第一部」

創元文庫を擬態したような惹句の帯が笑えますな

 この勢いで、「不死の宴 第二部」もいけた。

今回のサイズはハヤカワポケミスを擬態した

 今、第三部(1972年が舞台)を書いていて、第六章にかかっているのだが、問題が一つ。ルイス・リカルド・ファレロの絵に使えそうなものがなくなってきたのだ。これは想定外。
 そんな時に、急速に話題になってきたのが、AIによる画像生成である。そこで、藁にも縋る気持ちでいろいろ試してみた。
 AIへの指示はこうだ。
美しい女ヴァンパイアが戦っている。ルイス・リカルド・ファレロが描きそうな油絵風で」(←を英語で指示した)
それがこれだ。

こ、これだ!

 完璧じゃないですか!
 第三部で活躍するソ連のヴァンパイア・エージェントのイメージにぴったり。

 これで安心して執筆できます。

(追記 2023/09/22)
私の作品の表紙には、長女が作品読んで、「とうさん、作ってみたけどよければ使って」というのもあった。それが、これ。

これも気に入っている。

娘よ、やるじゃないか! と即採用した。気が向いたら、また作ってほしいよ。

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