映画レビュー(118)「FREAKS フリークス 能力者たち」

2020年米国・カナダ映画

傑作SFでした。
物語は7歳の娘クロエの奇妙な日常から始まる。異様なまでに外を恐れて娘を出さない奇妙な父親との二人暮らし。時間が止まっているかのような窓の外。
やがて、それは娘を守らんがためであることがわかってくる。クロエは、特殊な能力故に社会から粛清されていく「フリークス」なのである
この物語の進行が見事。
また、能力者フリークス同士の中にも、社会に対する抵抗の仕方や戦い方についての対立がある。クロエはやがて死んだと言われた母親と交信するようになる。強大な能力を持つ母親は、どこかに幽閉されているらしい。
怒涛の展開に最後まで引っ張られた。無垢で純真だったクロエがやがて怪物的な力を得ていく。だが、それは普通の人々の攻撃や敵意こそが原因なのだ
ラスト、怒りと憎しみを込めてスクリーンから我々を見つめるクロエを、だれが責められようか!
職場や学校という日常の中、「感じ方」「趣味嗜好」「コミュニケーションの仕方」などが、多少、周囲と違うというだけで、多数派の人たちから異物のように扱われ、異端視されたり、いじめの対象になった経験を持っている人には、クロエ達フリークスの気持ちが刺さるのだ。
実際、私も、皆がたしなむゴルフをやらない、小説なんか書いている等々、職場では多数派の価値観を紊乱する異物であった。
この物語は、そんな現代の社会を暗喩した物語でもある。彼ら「フリークス」には色々なモノが暗喩として代入可能だ。例えばBMLとか。
ついでに主役の美少女もいい演技してた。オススメ。

「フリークス 能力者たち」


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