映画レビュー(41)「純喫茶磯辺」

(2009年 04月 24日 「読書記録゛(どくしょきろぐ)」掲載)

 2008年7月の公開映画。監督・吉田惠輔。
 妻に出て行かれたダメ親父磯辺裕次郎と一人娘咲子。父親の急死で遺産を手にした裕次郎は、ぐうたらした生活を始めるが、娘の手前仕事を始めることにする。それが「純喫茶 磯辺」だ。
 まず、喫茶店開業の動機が安易。従業員の娘に安易に恋をしてしまうし・・・。この親父の安易なダメぶりに、観客は、「やれやれ、とほほ」と思いながら、同時に「でも、人間ってそうだよな」と共感する仕組みになっている。この観客から共感されるキャラクターが娘の咲子の役割だ。
 喫茶店の妙な客たちも、「あるある」とうなづいてしまう。そんな温さ「心地いい」ユーモアになっている。
 希望や勇気などを鼓舞される映画ではない。でも、人生これでいいじゃないか、と思わせる、そんな作品が見たいときが人間にはあるのだな。
 この作品では、娘役の仲里依紗がとても魅力的。別居している母親との微妙な関係や、高校生らしい不安定な気持ちなど、繊細な演技をしている。
「純喫茶磯辺」
(追記 2023/12/18)
仲里依紗さんを初めてみた作品がこれ。今や脂の乗り切ったベテランで、ドラマなどで拝見するのが楽しみな役者さんだ。ゼブラーマン2でのヴィラン役もカッコよかったなあ。

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