映画レビュー(70)「隣人X 疑惑の彼女」


プライムビデオで鑑賞。
ある日、日本は故郷を追われた惑星難民 X の受け入れを発表した。人を傷つけず社会に同化して暮らすという難民X。それでも日本社会は不安を抱く。疑心暗鬼が渦巻き、週刊誌などマスコミはX探しを始めるのだった。
原作は、パリュス あや子の2020年の小説。

 難民問題を正面から取り上げた作品だが、むしろこれは難民問題を通して日本人と日本社会を描いている作品。難民Xを探し出して糾弾するマスコミ・ジャーナリズムの厭らしさに、いじめらっれっ子を一人設定して、彼一人をバカにすることでクラスの結束を図るような「クラスのいじめと同じ構図」じゃねえかよ感を抱いた。
 作品を見終わった後、他者をレッテルや外見や噂などではなく「心で観ることのできる人」こそ「X」なのだと思わせられる。エンドシークエンスでの主人公の言葉でそれに気づかされる。
 優れた寓意に唸った。

隣人X 疑惑の彼女



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