映画レビュー(92)「アステロイド・シティ」
舞台劇「アステロイド・シティ」の舞台裏と劇内世界とを交互に描く構成である。フィクションのフィクションというメタ構造だが、既におなじみの手法である。メタフィクションは、80年代後半にはその新しさが受けた覚えあり。
物語は脚本家が劇を執筆するところから始まり、最後は脚本家の死で終わる。脚本家や役者の現実の思いとリンクする劇中世界。現実世界と心のコントラストが見事に描かれる。
現実がモノクロ映像で劇中世界が総天然色映像というところがミソかな。
「グランド・ブダペスト・ホテル」が、大型絵本のような映像で語られていたとすると、今作は舞台のセットのような人工味が面白い。少し、「バービー」味か。
なんだか、ジム・ジャームッシュの映画を観たくなってしまった。雰囲気似てるんだ。この二人。
「アステロイド・シティ」
(追記)
脚本家は死んでしまうが、映画は劇中世界のアステロイドシティで終わる。
作家は、残した作品によって不死を獲得するのだなと、気づかされた。
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