映画レビュー(52)「ヴァージニア」

フランシス・フォード・コッポラ監督の2011年の作品。なぜこれかというと、これ書いてる今日1月19日はエドガー・アラン・ポーの誕生日だから。この作品はポーに対するオマージュでもあるのだ。

物語は

 ある寂れた田舎町に売れないホラー作家がやってくる。サイン会を開くためだ。(このあたり、身に染みたことを告白しておく)
 その夜、夢に現れた謎めいた少女と、廃ホテルに残るエドガー・アラン・ポーの記念物。ヴァージニアと名乗る少女に導かれ、胸に杭を打たれて死んだ身元不明の少女の事件と、この町で過去に起きた凄惨な殺戮事件の真相に迫る。同時に彼は、娘を事故で亡くした過去を乗り越え、新作を執筆して完成させる。

美しい映像

 恐怖や不安というよりも耽美な作品だった。随所に現れるポーへのオマー ジュ。ヴァージニアというタイトルは舞台となる州名であり、謎の娘の名前であり、同時にポーの妻の名前である。ポーは13歳のヴァージニアと婚約したという。物語の中の過去の事件がそのような少女がらみの事件であるところも暗喩的。そしてその過去と現在をつなぐ吸血鬼伝説。
 個人的にこの作品は大好きで、毎年見返している。
 恐怖や謎との出会いと解決が主人公の内面の落とし前と表裏一体であるというのは、ホラー作品の王道である。
 自分にとっては、「たたり」(ウィリアム・ワイラー)と同じく教科書になった作品である。

「ヴァージニア」

(追記 2024/01/21)
 この作品のように、店頭でのサイン会や、朗読会などで自著を販売するのは、日本でもおなじみだが、実は19世紀のアメリカでも全国を回って自分の本を有名無名の作家自身が売っていた時代もあったようだ。そんなことを思い出した。

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