モビリティの変化について
以前の投稿でMaaS(Mobility as a Service)について書いたときは、『Beyond MaaS』を参考にしていました。
本書は2020年3月に発売された本なので、内容としては新しく比較的最新のMaaS情勢を学ぶことができました。
とはいえ、本書が大変期待を寄せていたGoogleの傘下、Sidewalk Labsがトロントで進めてきた未来都市計画は頓挫したことや、本書で紹介された実証実験が新型コロナウィルスの影響で延期、再開の目処立たずとなっていることを見るに状況は日々刻々と変わっており、最新情報を追っていくことの必要性を痛感します。
トヨタ自動車がモビリティ・カンパニーになると宣言している時代ですから、モビリティ関係の最新情報を得ることで業界の行く末の想像もしやすくなります。
世界のイチローさんもトヨタの新入社員へのメッセージでモビリティカンパニーというワードを使われています。
私は『Beyond MaaS』と合わせ、以下の2冊からモビリティ関係の知識を学びました。
それぞれ2018年、2019年刊行です。
私の頭の中では、これらから得た内容があるのですが、もしかしたら既に未来予想図が違う方向に行っていることもあるかもしれません。
今回は、この2冊の内容を読み返し、当時想像していた未来と現在が既に違ってきていないかを確認したいと思います。
そして、もし既に時代遅れになった知識があるようでしたら、それらを捨てていかないといけません。
まず、『モビリティ2.0』の中では、「モノよりコト」というモノよりも経験を重視する考え方が、モビリティにも波及すると主張している。
それはユーザーエクスペリエンス(User experience, UX)を最大化する製品のニーズが高まることを表しており、顧客体験を創出する製品を生み出せる企業が既存の自動車メーカー以外で出てくると予期している。
その中でも、本書ではダイソンに期待を寄せている。
当時、ダイソンはEV自動車産業への参入を発表していた。
ダイソンはサイクロン式掃除機でも示された高いデザイン力と最新技術を駆使することによる新たなUXの創出を期待されていた。
当時は、私もエンジンから電気への移行で他業種からの参入が多くなるだろうと思っていた。
ところが、ダイソンは昨年10月にEV(電気自動車)の開発からの撤退と、その事業の買い手が見つからなかったことを発表した。
異業種からの参入の旗手と目されてきたのがダイソンの撤退は、電気自動車だからといって自動車産業の参入障壁が極端に低くなったわけではないことを象徴している。
詳細はこちらの記事をご参照いただきたいが、端的言えばEV自体が思ったほど市場規模を増やせていないこと、完全EVのもたらす顧客満足が、ガソリン車(やハイブリッド車)のそれと比較して価格差ほど優位性がないと市場に判断されているからであろう。
EVの代表的なメーカーにテスラがあるが、テスラの車両はかなり高価である。ターゲットは富裕層で、そもそも価格より満足度を求める性質にある。そのため、価格との比較というよりはそれそのものの性能を見てもらいやすい。
中国や欧州各国は、EV車に補助金を出し購入を促しているが、そもそも補助金が必要な時点で「商品力」としてはまだまだ市場を満足させるものになっていないということだ。
EVの評価は今のところ、普及はしてきているが、期待値ほどではない、くらいに考えておくのが良さそうだ。
本書ではまた、「自動車の資源は石油からデータ」になると述べている。
自動車から取ったデータを様々なことに活かし、自動車が地域のエコシステムの中心になることを予期している。そして、自動車メーカーはモビリティカンパニーになっていくという考えだ。
現状、この流れはまだ続いていると言えるだろう。
トヨタは静岡県に都市を作る計画をしており、前述の通り、モビリティ・カンパニーに変わっていく最中だ。
自動車が、EV・自動運転・データ・シェアリングといったキーワードを中心に、都市の中でどのような位置付けになるか、の答え合わせはまだまだ先のことになりそうだ。
次回は『モビリティ3.0』について、再度内容を読み返していきたい。
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