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コミュニケーション不安を解消するには

さて、昨今のテレワークの流れの中、みなさんは如何お過ごしでしょうか?

なかなか、外に出れないストレスが溜まる反面、自宅でゆっくりと時間を持って、自分を見つめ直すことができた、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実は、4月の自殺者数が前年比2割減になったことが厚労庁や警察庁のまとめでわかりました。

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勿論、今後経済危機により自殺者数が増加する可能性はあり、この現象の良い悪いをここで論じるつもりはありません。

ただし、東日本大震災のあった2011年3月〜5月は自殺者数が増加していることからも、このような事態の中、

自殺者数が減少したことと、コミュニケーションに多くの人が悩んでいて、時には人を死に追いやることがあることが全くの無関係というわけではないでしょう。

では、私たちはどうしてコミュニケーションにより悩み、苦しむのでしょうか?

心理学者のアドラー氏は「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」といいましたが、まさにその言葉の通り、人間の脳は見知らぬと他人とうまく人間関係を作れるように設計されていないそうです。

人類は数百万年、小さな集団の中で、顔見知りの中で生活してきました。当然、脳もそのような集団に適応できるように進化しています。

そして、このミスマッチが私たちに漠然とした不安を植え付けるのです。

そのようなぼんやりとした不安については芥川龍之介も指摘しています。彼は大量の睡眠薬を飲み、自殺しましたが、遺書の中で以下のように述べています。

「誰もまだ自殺者自身の心理をありのままに書いたものはない。僕は君に送る最後の手紙の中に、はっきりこの心理を伝えたいと思っている。君は新聞の三面記事などに生活難とか、病苦とか、或は又精神的苦痛とか、いろいろの自殺の動機を発見するであろう。しかし僕の経験によれば、それは動機の全部ではない。のみならず大抵は動機に至る道程を示しているだけである。少なくとも僕の場合は唯ぼんやりした不安である。何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安である」

SNSの存在は、我々にさらなる不安やストレスを植え付けることに貢献しています。

実際、スマホの使用時間が長いほど社会不安のレベルが高いというデータがあります。

また、スマートフォンを手元に置いておくだけで、たとえ電源を切っていても学習効率が悪くなるという研究結果と出ているそうです。

前述の通り、人類が数百万年行なってきた小さな集団での暮らしでは、人間関係は濃密です。

そのため、漠然した不安を人々が感じることはありません。一方で、濃密な人間関係ゆえにはっきりとした不安を抱えています。

小さな集団の中での不和は、文字通り生命の危機なわけです。

原始的な小さな集団をした方がいい、と言っているわけではありません。

要は、現代のような、ぼんやりとした不安を抱えやすい環境でいかに他人とコミュニケーションを取るかということです。

現に、ブリガムヤング大学によるメタ分析では、人間の寿命を延ばす効果が高い要素として、「良好な社会関係」を一番に挙げています。

※メタ分析とは、多数の過去の論文や研究などの結果を分析することです。

その効果は、絶大で孤独だった人に友達ができた場合は最大で15年も寿命が伸びる傾向があったそうです。

つまり、ストレスや不安の要因となる他人が友人と言えるレベルまでコミュニケーションが取れることで、我々にとって、とても良い影響の大きい存在になるのです。

それでは、我々はどうやって他人と良好な関係を築けば良いのでしょうか?

他者とのコミュニケーションの方法として、オススメなのが、セルフディスクロージャー(Self Disclosure)です。

セルフディスクロージャーとは自己開示のことです。詳細は以下に説明します。

What Is Self-Disclosure?
Self-disclosure is the process of passing on information about yourself to someone else – whether you intend to or not! The details can range from the superficial, such as your favorite food or TV show, to deeply personal information, such as religious beliefs, and big turning points in your private life.

訳:自己開示とは自分の情報を誰かに伝えることです。お気に入りのテレビ番組や食べ物といった表面的なことから、信仰や私生活の大きな転換点といった深い内容を含みます。

There are two types of self-disclosure: verbal and nonverbal. We self-disclose verbally, for example, when we tell others about our thoughts, feelings, preferences, ambitions, hopes, and fears. And we disclose nonverbally through our body language, clothes, tattoos, jewelry, and any other clues we might give about our personalities and lives.

訳:自己開示には、口頭のものと言語を用いないものがあります。前者は、考えや感情を言葉で伝え、後者はボディランゲージや入れ墨などによって個性や生活を非言語的に伝えます。

In this article, we focus on verbal self-disclosure. However, nonverbal signals are always present in our interactions, so be alert to all the different ways that you can reveal yourself to others.

訳:ここでは、口頭での自己開示にのみフォーカスしますが、非言語的な自己開示も我々のコミュニケーションの中には存在し、自分のことを他者に話す様々な方法に注意をする必要があります。

セルフディスクロージャーをし、自分の悩みや秘密を隠さずに打ち明けることで、他者に対して「信頼」を与えることができます。

このセルフディスクロージャーは適度な塩梅を保つことが大切です。

以下が具体的な話題のパターンになります。

1 お金と健康に関する心配事

2 自分がイライラしてしまうこと

3 人生で幸福になれること、楽しいこと

4 自分が改善したいこと(体型、性格、スキル)

5 自分の夢や目標、野望

6 自分の性生活に関すること

7 自分の弱点やマイナス面

8 自分が怒ってしまう出来事

9 自分の趣味や興味

10 恥ずかしかった体験、罪悪感を覚えた体験

成功した経営者の多くは、自分の弱みをさらけ出し、他者に頼ることができる人だと聞いたことがあります。

包み隠さないからこそ、彼らは信用されます。

このセルフディスクロージャーはその第一歩と言えるでしょう。

勿論、これらのテーマを意識するあまり、嘘をついたり、それほど重要視していないことを大袈裟に話す必要はありません。

これらのテーマの中で、自分や悩んでいることや伝えたいことを相談という形で話すと良いでしょう。

みなさん、セルフディスクロージャーを効果的に行い、他者とのコミュニケーションをより良いものにできることを願っています。

また、コミュニケーション改善の方法として、このほかにも、”遊び”を取り入れるというやり方もありますので、それについてはまた別の機会に紹介しようと思います。

〇参考文献・引用元



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