中道連立の時代への道筋

都知事選公示

都知事選の公示後、選挙活動がやっと始まった。これから始まる都知事選のキーワードは多くのメディアが「自民党の失墜」に持って行こうとするような空気感を身をもって感じる。その自民党が支援する小池百合子氏に対する学歴詐称問題や、利権という部分が大きく連日取り上げられている。党員の人数や知名度、支持基盤も圧倒的な小池氏だが、今回の選挙は苦戦を強いられることが予想されている。
そして、国政の方も立憲民主党から内閣不信任案の提出が行われ、自民党に対する評価は内閣支持率に現れている通りである。日本の「保守」を代表する自民党の代わりとなる政党はどこなのだろうか。

「立憲共産党」と言われる野党第一党

今回の都知事選では”無所属”で出馬した蓮舫氏も出馬している。支持されているのは立憲民主党と共産党である。この国政の政権交代の流れを大きく汲んだ選挙体制だろう。しかし、今回の選挙では私は「共産党」がカギを握ると考えている。今回の公示前の段階から共産党はかなり力の入った応援っぷりであり、一部では事前運動とも言われかねない動きまで見せた。共産党が表に出れば出るほど足を引っ張るというジレンマの中、蓮舫氏は選挙運動を行うことになってしまっている。現代の民主主義の日本では、共産党がまとっている「マルクス主義」や「中国共産党」というイメージはやはり敬遠されるポジションである。マイノリティーへの支援は聞こえはとても印象は良いし、”性格は良く”聞こえるが、ある程度の年齢を生きている有権者は政党の本質というのを見ている。「立憲共産党」にとってはそう簡単な選挙にはならないだろうし、当選したとしても共産党との連立の弊害が都政に現れてしまうだろう。

「無所属」の価値

そこで第三極になりうるのが石丸伸二氏の陣営である。「完全無所属」の存在である。支援をもらう政党はないが、政党政治の真反対を行く存在である。しかし、ボランティア3000人にもなるというSNSの生み出した新しいパワーを持っており、政治屋の一掃を掲げている。政党というしがらみは抱えず、是々非々で政治判断を行うというこれまでの政党政治、特に連立政権には出来なかった姿勢である。今回の有権者の中にある「自民党は信用できない、出来なくなった」「一方で共産党が支援している蓮舫には投票できない」という人の受け皿となりうる。ここが絶好のチャンスである。SNS・ネットでの支持は高いがYoutubeなどを見ない生活者に対する「受け皿」を誰が一番用意できるかが争点ともなる。今回の「受け皿」としてのポジションは伝統保守である田母神氏も同じようなポジションであり、飛び入り立候補した暇空茜氏も同じだろう。しかし、ここが票を分け合ってしまっては、小池氏・蓮舫氏の二項対立となってしまう。
この受け皿のポジションはやはり「リアルでの接触」に他ならない。Youtubeを見ない人にYoutubeを見ろというのは困難である。急にYoutubeのURLを送られてもかなり密な関係でない限り「怪しい」と思われてしまう。これまでの一定の支持母体のある政党の選挙運動を見ても、一方的な投票の押し付けは嫌われることは明白だろう。そこで、Youtubeを見ない人たちにとっては、しっかりとリアルの目で見ることが出来る政治家に”会う”ことが必要である。ここは伝統的な選挙が強いのである。心理学的にも合う回数が増えるほど好きになりやすい、なども聞くことがあるが、リアルな接触をどれだけ重ねられるか、を取り組み、ネットだけでない「ハイブリット戦」がこの受け皿争いには重要だろう。

東京都知事選の”点から線へ”

今回の東京都知事選は点で終わる話ではない。次に控える総選挙にもつながっていくのである。都知事選の結果を見てから判断するということを考えると自民党が解散しなかったのも理解できる。立憲民主党も息巻いているが、共産党との連立の結果が見えるのは今回の都知事選だろう。また投票率がどのくらい延びるのかもその他陣営も気にしているところだろう。
もし、仮に石丸伸二が善戦すると国政にも大きな一歩となり、線になるのである。石丸氏の勝利・善戦があった場合、それは「政党政治」に反対する人の声の強さである。言い換えると是々非々の意見を求めている声と考える。とはいえ、国政では無所属で戦い抜くのはかなり困難を極める。個人よりも政党で人を判断する側面が強く、比例での投票もある。その時に起きることは、維新の会・国民民主党の中道右派の政党の伸長だろう。維新の会も「是々非々」、国民民主も「対決より解決」という標語も掲げている。特に国民民主は政策の是非によっては与野党どちらにもつくという姿勢をとっている。これは前原氏の離れたことによる玉木氏・榛葉氏の手腕が光る国民民主党のパワーだろう。今回の国民民主党都連は都知事選では小池氏を支援する方針にしているようだが、ここは維新の会と同じく「静観」というスタンスをとって欲しかったというのが個人としての”感想”である。とはいえ、連合東京への配慮もあったのだろう。
今回の都知事選は、点から線へ必ずつながる。次の選挙は個人的には前述した2つの政党について注目をしたいと考えている。ちなみに他の政党を挙げない理由としては、大きな改憲への考え方の違いである。維新の会・国民民主党は党方針・スタンスはやや似ているところもある。同選挙区に立候補をした場合、かなり票を食い合ってしまう部分もあるだろう。石丸氏が勝つことがあれば、この2つの政党は自民党とも立憲民主党とも連立を組まずに、維新・国民民主で一緒に戦っていくのが一番良い道筋ではないだろうか。


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