都知事選における石丸伸二のポジション

右と左論争の終結点

今回の都知事選は、公示前から多くのテレビメディアや新聞で小池VS蓮舫を描いていた。しかし、石丸伸二の登場によってこの構図が変えられようとしている。
この構図について、これまで永きにわたり行われてきた右左の論争からの大きな変化を感じる。
要するに、今回の選挙では右左の二者択一が効かなくなってきているのだ。

石丸伸二は"日本経済新聞"である

世論をリードする新聞メディアは全国紙で当てはめると保守寄りの読売新聞、革新寄りの朝日新聞とよく言われる。この構図は自民党が支持する小池氏と、立憲民主党の支持する蓮舫氏の構図とよく似ている。さらには小池氏には聖教新聞、蓮舫氏にはしんぶん赤旗というメディアもついてくる。テレビメディアも新聞社との資本関係もあるため大きくは同じだろう。
そこで、石丸伸二はこの構図とは一線を画し、大手銀行出身で"経済のプロ"である。これは全国紙の論調の違いで争うシェアの奪い合いに参加しない日本経済新聞の立ち位置なのではないか。「経済」というポジションでリードしてプラスの価値を付与している。
よく読売新聞と日経新聞の併読、朝日新聞と日経新聞の併読をしている人もいるが、それと同じような現象が今回の選挙戦でも出ている。右左ではなく経済という視点で東京を動かすという視点で物事を語る。様々な会見でも日経新聞の記者は首尾一貫をしており、経済効果はどのくらいあったのか、政策展開におけるコストなど経済のことにしか興味がないのかとツッコミたくなるほどである。
この選挙、石丸伸二は日経新聞のように我々に新しい視点を提供していると考えている。石丸伸二は安芸高田市時代の実績はと問われることも多いが、市の財政説明会という他の自治体ではやっていないようなことも実施している。企業の株主向けの説明会さながらである。もちろんこれだけではないが、財政を明確にする姿勢こそ日経新聞の記者の視点だろう。
「是々非々」というのはこの視点から生まれているのではないだろうか。これからも政策に対しての経済の目で予算・財源の使い道と効果測定を予測しながら判断をしていくのではないだろうか。首長の判断軸がブレると皆が一方向に向かないが、経済という方向性さえ示せれば、舵取りは少しは楽になるだろう。都議会議員は今からでも経済を勉強すべきだろう。
日本の教育では政治経済と一括りにされている。いまの政治家は政治経済の経済という視点が大きく抜けている。かくいう私自身も政治を学んできた身だが経済の方は勉強を怠ってきたなと反省するところである。

スポーツ新聞に踊らされるべからず

最近は石丸伸二への批判の投稿もSNS上で散見される。この批判というのが根拠のない都市伝説のようなものばかりである。中国の工作だ!だったり数字を操作しているなどあまりにも証拠のないいわれようが書かれ、そこに信者が集まっている。中国の工作なら一般的な政治姿勢であれば共産党の支持する蓮舫氏を支援するだろうし、一部の発言を切り取られ上野千鶴子氏を崇拝しているという人もいるが、そんな人間が橋下徹氏や櫻井よしこ氏に対しても尊敬していると言うだろうか、ましてやそんな人間を"裏の組織"が操るだろうか。
このSNSでの投稿などを見ていてスポーツ新聞に近いものを感じる。スポーツ新聞を卑下しているわけではなく、趣味興味に特化している新聞という意味で使用させていただいている。競馬が好きな人は競馬新聞、芸能人の不倫報道などの芸能・エンタメとしての記事も多い。しかし、このようなメディアには得意分野ではないところでの飛ばし記事もよくある話である。

メディア論の第一歩目

まず、メディア論やマスコミュニケーション論などの分野では最初に何を学ぶか。ニュースの偏りに気づき、しっかりと自分の頭で判断することである。今回の選挙でもそれぞれのメディア(人)がそれぞれ違う主張をするし、それぞれの立候補者を応援する。そういったそれぞれの発信を有権者は、一人ひとりが自分の頭で判断する必要があり、称賛のコメントが多いから、批判が多いから、などと流されてはならない。

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