シナリオってなんだ③

さて、今回は技法的なこと、普段書く上で心掛けていることなどを綴っていこうと思います。

まず、以前の『シナリオについて』と題した記事で触れたかとも思いますが、ハイトウはもともと小説書きです。
ですので、シナリオを書く上で一番念頭に置いているのが『小説にしないこと』です。

身も蓋もないですが、それなら小説で書けよ、となるからですね(笑)
どうしてもシナリオ故の会話劇、演者さんの声の演技があってこそ成り立つものにしたいので、題材としてシナリオ向きではないものはあまり扱わないようにしています。

シナリオ向きではない(小説で書いた方がいい)ものとして、

・世界観の主張が強いもの
・歴史、大河もののように長い時間経過を書く必要があるもの
・声や心情の揺らぎより、身体全身での演技、アクションなど視覚からの情報が多いもの

は、個人的には避けるようにしています。
(ボイスドラマのシナリオとして個人的には、という見解なので書いてはいけないということではありません。敢えて、ボイスドラマの制約内だからこそ書くこともあります)

これらを避けているのは、「小説の方が向いている題材であるから」と同時に、フリー台本だとこちらの意図(演出や演技の方向性など)を伝えきるのが難しいからです。

なので、あるワンシーンを切り取った一幕もの、ナレーションや音響効果がなくても成り立つ会話劇というのが理想です。

また執筆後には「実際にセリフとして口に出した時、違和感がないか」は確認します。やはり、字面だけを追っていると違和感のあるセリフを生み出してしまうことがあります。
意図的に「い抜き言葉・ら抜き言葉(知っている→知ってる、来られる→来れる……など)」を使ったり、語尾の重複がないか、語感のテンポは悪くないかなどをチェックします。
(余談ですが『語感のテンポ』に関して。「"ライター"より"百円ライター"と言ったほうが質感や人物像も想像出来る(実際は百円じゃライター買えないけど)」といった旨を、つかこうへいさんの戯曲集にて触れていたことが印象的でした。)

これは、(小声でも)完成後に口に出して読んでみるのがオススメです。

逆に、字面として気にしているのは行間、と三点リーダー(…)、句読点の位置、漢字とひらがなどちらで表記するか、です。
先程、フリー台本ではこちらの演出の意図を伝えきれない、と書きました。
それを分かりやすく、且つ、共有しやすい形で伝えられるのがこの点だと思っています。

小説のルールとしては


・三点リーダーは必ず2回繰り返す
・数字の表記は繰り返される可能性のあるものはアラビア数字表記(ex:1、2回頷いて、等)
・固有名詞や、繰り返さない、変化使用のない数字は漢字表記(ex:三丁目、二十歳になった記念に…等)

といったものがあるのですが、意図して破っています。特に顕著なのが、三点リーダー。
あまり多用すると不自然になりますが、少しの間、タメに変化をつけたい時は三点リーダーの個数や有無で変化をつけています。

漢字かひらがなか、についても

漢字→堅い喋り方をする、神経質さなどを表したい。(同じ読みの漢字でも旧字、常用外の漢字にするなど)
ひらがな→舌足らずさ、子供っぽさ、言葉の意味を理解していない狂気、無知さ

を表現したい時に使い分けています。


シチュボシナリオ、声劇シナリオで労力や手直しの分量は変わってきますが、概ねこの通りです。趣味の範疇のフリー台本か、ご依頼かによってもどこまで手を加えるかは変わります。(フリー台本は投稿すること自体が目的なので、後に微修正をしたり、テーマはそのままで違うものを書いたりもします)

もし、拙作を読まれる機会がありましたら、「そういえばハイトウは自分のシナリオに対してこんなこと書いてたなー」と思いながらお目通し頂ければと。

(もし、上記のルールを本人が意図せず破っていたら、ご指摘頂けると嬉しいです(笑))
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他にも年代や表現媒体(映画、連続ドラマ、アニメなど)を問わずシナリオそのものを読むように心掛けています。

今後、読んで面白かったシナリオやシナリオ術のハウツー本などもご紹介出来たらと思います。


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