見出し画像

日本の酒米は安すぎる ─ #日本酒のできごと (2023/11/27-12/3)

「日本酒のできごと」は、日本酒にまつわるニュースや動向を週1でまとめたマガジンです。ごはん同盟のシライジュンイチ(@hair5mm)が、毎週月曜に更新しています。(とかいいつつ、最近更新が遅れ気味で、火曜の深夜にこれを書いてます。よくないな)

今週飲んだお酒はこちら。「日本一の立ち飲み」と個人的に思っている、兵庫県・明石の「立呑み 田中」の出版イベントにて味わった5本です。

「酒蔵」のできごと

・旭酒造 蔵元日記vol.556【山田錦値上げ】

「獺祭」を醸す旭酒造の酒米の仕入れ価格に対する提言。全国の山田錦の価格に決定的な影響力を持つといわれる全農兵庫の仕入れ価格で2%強の値上げを実現できたとはいえ、素直に喜べない状況はとても理解できます。米作りは年1回だけ。1度休むと、再び米作りをするのに大変な労力がかかるから、続けられる環境やインセンティブを整えるのはとても大事なことだと思います。


・酒米の品質向上へ 酒造会社で審査会 岩国

同じく、旭酒造の酒米に対する試み。酒米の品質と農家の生産意欲の向上のために、毎年、山田錦の審査会を開いています。


・長州酒造 新体制のお知らせ

「天美」を醸す長州酒造の杜氏が退職されたとのこと。事情はわからないけれど、お知らせにある「地元との方々を中心に新たな体制で~」や「天美の味を再現し供給~」という一文に、なんだかモヤる。


・【寺田本家×ぷくぷく醸造】ぷくぷく醸造 設立1周年を記念し、業界初の酵母無添加 ホップサケ(Hopped Sake)をリリース!室町時代の日本酒"菩提?"×ビールの技法"ドライホップ"により醸造。

ぷくぷく醸造の最新作。先日の日本酒イベント「SAKE PARK2」で一足早く飲んだけれど、鮮烈な苦味が印象的でした。IPA Loverのビール好きにぜひ飲んでもらいたい1本。


・二酸化炭素排出実質ゼロ!を達成した酒蔵・小嶋総本店より酒かすを活用したエネルギーで醸した『東光 with green』を発売

米ぬかを肥料や飼料として活用したり、酒かすを活用したバイオガス発電による再生可能エネルギーに切り替えたり、酒蔵は街のハブになる存在だから、カーボン・ニュートラル化によるインパクトは大きそう。


「国内」のできごと

・熊本市の民間研究所が開発した日本酒の酵母が広まり商標登録

熊本の酵母というと「きょうかい9号酵母」を思い出すけれど、今回商標登録された「熊本酵母」は「きょうかい9号酵母」の元株にあたるもので、両者は別のものだから要注意な。


・創業61年の酒店 IMADEYA、社外取締役に元電通の小島雄一郎氏が就任。清澄白河店の大家さんを経て、経営に参画へ。

清澄白河にIMADEYAを誘致した(自宅の1階に酒屋をつくった)大家の小島さんが、会社を辞めてIMADEYAの取締役になるとか、どんな夢展開!


・日本初!古酒専門の共同蔵置場を開設 パソナグループ『古昔の美酒 古酒蔵プロジェクト』 開始 ~酒蔵の経営課題を解決し、古酒文化を世界へ発信~

日本全国の酒蔵の古酒をタンク単位の大容量で受け入れ、これまで中小酒蔵の負担となってきた保管・充填・出荷に関わる一連の業務を一気通貫でやっちゃうプロジェクト。新商品の開発も行うみたいなので、小容量パッケージの古酒を販売してくれないかな。


・「発酵バレーNAGANO」和食の日に設立、長野県内の発酵食品産業8団体・企業が初連携

長野県内の8つの発酵食品産業団体(みそ・日本酒・ワイン・しょうゆ・漬物・納豆・チーズ・酢)からなるコンソーシアム「発酵バレーNAGANO」が設立。発酵食品をキーに複数の業界団体が横断的にまとまる事例は珍しい。長野にはおいしいものがたくさんあるからなぁ!


・Z世代のイマ ~アルコールとの距離感~ Z世代にとって飲み会は、多様な楽しみ方で参加する食事会!

Z世代にとって飲み会は、「アルコールを飲みたくない人は飲まなくていい」「アルコールを飲まない人がいても気を遣わない」という場。何を飲むかよりも、どこで、誰と、どのように飲むかがより重要になってきてますね。


#編集後記

長野・宮坂醸造の宮坂さんと、しぼりたての「真澄 あらばしり」を飲みながら、インスタライブをしました。「真澄」は、諏訪の自然のような清々しいお酒なんですが、なかでも「あらばしり」は、雪模様の中に刺す一筋の光のような印象。力強さを感じます。

味も香りも力強い「あらばしり」にあわせて、レシピも考案しました。

生原酒ならではのキレの良さが、豚肉の脂をほどよく洗い流してくれるので、さっぱりといただけます。オリーブの風味が効いたタプナードソースも、よいアクセントに。ゆで豚は事前に準備をしておけるので、人が大勢集まるおもてなし料理にぴったりですよ。

+++

ごはん同盟のおつまみ本、「ごきげんな晩酌 家飲みが楽しくなる日本酒のおつまみ65」が好評発売中。ごはん同盟は、お米を粒(🍚)でも、液体(🍶)でも応援しています!


読んでくださってありがとうございます。 おいしいごはん生活を探求すべく、あたらしい食材やお酒を試したいと思います。