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続・未だ聴こえない音楽の制作日誌-19- インタビュアーとアーティストの相互関係

海外からのインタビューを受ける時には覚悟と準備が必要だ。

今月22日の4年ぶりのアルバム発売日に向けて取材を受けている。

ZOOMであったりメールであったり。質問内容も様々、ドイツのレーベルからリリースするのもあって海外からの取材が多い。

英語はまだまだ勉強中、特にリスニングが未熟なので基本的にはメールインタビューにしてもらっている。

記者も文化の担い手である。

音楽/芸術ライターたちの質問はもはや問いかけとなり、内容は深く、創った本人にどういう思想があるのか、何を考えて何を表現しているのか、哲学的な部分に思いっきり踏み込んで聞いてくる。答える側は本人さえ実はよく分かってない部分にもスポットライトを当て、言語化しなければならない。

例えば。

Q. How do you feel your sense of identity influences your creativity? 

(自分のアイデンティティが創造性にどのような影響を与えると思いますか?)

Q. What were your main creative challenges in the beginning and how have they changed over time?

(最初の頃の主な創作上の課題は何でしたか、また時間の経過とともにどのように変化しましたか?)

Q. Art can be a purpose in its own right, but it can also directly feed back into everyday life, take on a social and political role and lead to more engagement. Can you describe your approach to art and being an artist?

(アートは、それ自体が目的となることもありますが、日常生活に直接フィードバックしたり、社会的・政治的な役割を担ったり、より多くの人を巻き込んだりすることもできます。あなたのアートに対する考え方や、アーティストとしてのあり方を教えてください。)

質問がこちらの創造性をガンガン刺激してくる。こんな感じで、技術の進歩が創作にどういう影響を与えるかとか、オマージュと盗用についてはどう考えるかとか、他にも想定もしていない角度からアーティストの人間性、作品の意義を掘り下げるようなものが多く、しかも慣れない英語を調べつつなので一つの取材を受けるとヘトヘトになる。メールインタビューでも返信に数日かかることもある。

だが、楽しいのだ。感性が刺激される。

記者もまた文化の担い手であり、創作の過程を熟知した問いかけによって制作者本人もまた考えを深くし、お互いに切磋琢磨してさらなる創造の高みに向かうことが出来る。記者が芸術を育てる役目を担っているように感じられる。

単純なPV数や目先のコンテンツ作りのためではなく、記者自身もクリエイターとしての自覚を持って挑んでいくことで双方に刺激しあい真剣に意見を交わすことで、より充実した文化が育まれていくのだ。インタビューも批評も考察も全て、"剣より強いペン"によって育成され充実してくことが望ましい。

こんな質問に連日、しかも対面で返していくような日々を考えたら、それは海外アーティストたちが立派な考えをもって発言するようになるのももっともであろう。例に挙げたのは序の口で、もっと深いところを突いてくる質問も少なくない。

我々創作者側も常日頃から自分の行いに対して深く掘り下げ、常に緊張感を持って作品作りをしていかなければならないと襟を正す思いである。

質問者と回答者が常に刺激しあって、文化を育てていく。

我が国でも文化の担い手であるという自覚を持った素晴らしい記者たちがさらに活躍できる環境が拡がっていくことを願ってやまない。


P.S.

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