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物語

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記事一覧

こういう時に、効かない薬

1日の、飲める限度までもらった薬を飲んでも、気持ちが収まらない時がある。ここ2年位で、急に…

士官候補生

剣の意匠など、見てもわからなかった。 自分の手に馴染んで使えれば良い。 大伯父はそう教え…

習性

私は、およそこの世のものではない恐怖の人物と対峙した…はずだった。 なぜ過去形なのか。 そ…

誕生日の夜

完全に終わった。もう、無理。 私の物語はもうすでにここで途切れた。あとはもう知らない。勝…

ドロテアの横顔

 真っ白な雪原に、一つ、また一つ。真っ赤な雫が落ちた。 かつて『猟犬』と呼ばれた私にも、…

若者と猿

若者は猿に言いました。 「ずいぶん立派な首飾りだな。お前はどこかの偉い人かい?」 猿は傷口…

若者と猿

昔々あるところに、神が死んだ国の若者が泣いておりました。 大切な存在を失ったのです。 何をしても生きる気力を見つけられずに、その日ぐらしをしておりました。 若者は、今日の日銭を稼ぐために深い森の中に分け入った時でした。 洞窟の方で猿が甲高く喚いているので、不思議に思い奥の方へ入っていくと 一匹の猿が鎖につながれていました。 猿は若者を見つけると、若者の方へ向かってこようとしています。しかし、足をつながれているのでそれ以上進めません。足首は腐りかけ、血がにじんでいます。若者は