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若者と猿

昔々あるところに、神が死んだ国の若者が泣いておりました。
大切な存在を失ったのです。
何をしても生きる気力を見つけられずに、その日ぐらしをしておりました。

若者は、今日の日銭を稼ぐために深い森の中に分け入った時でした。
洞窟の方で猿が甲高く喚いているので、不思議に思い奥の方へ入っていくと
一匹の猿が鎖につながれていました。
猿は若者を見つけると、若者の方へ向かってこようとしています。しかし、足をつながれているのでそれ以上進めません。足首は腐りかけ、血がにじんでいます。若者はかわいそうに思い猿の鎖を解いてやりました。

猿は喜び、足を引きずりながら若者によじ登ってきました。
若者も悪い気はせず、猿を抱えてやると水辺でその傷んだ足を洗ってやりました。すると若者は、猿の首からきれいな首飾りがついているのに気が付きました。


<続く>

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