視聴者投稿創作怪談『人を喰らう峠道』

これは、私の怪談を扱う配信に、視聴者の方より投稿されたお話です。





某県の山の中に、夜中に通行禁止の峠道が存在する。その道を封鎖するのは、近くにある高速道路のICの職員の仕事だった。
ある年、新入社員がなぜ封鎖するのか疑問に思って、ベテラン職員に尋ねたら、そのベテラン社員は訥々と昔話を語りだした。

「俺がこの会社に勤めだしてすぐぐらいだったかな、あの峠道でバスが横転する事故があったんだよ。乗っていたのは修学旅行に行く小学生だったんだがな、半数近い子供たちがその事故で亡くなったんだ。

それからだよ、不思議なことが起きるようになったのは。 あの道を夜中に走っていたバイクが数台、たて続けに行方不明になったのさ。どこかの崖から転落したんじゃないか、ってことで警察が探したんだけどな。バイクは見つかったのに、本人たちがどこにもいない。しかもそのバイク、高所から落ちたはずなのにまるで傷が無かったらしい。

んで、事件性ありってことで警察がそのバイクを調べたらな、トンでもないものが見つかったんだとよ。 …なんだと思う?血?死体?いやいや、そんなものじゃない。指紋と掌紋さ。

ただな、その大きさと量がおかしいんだ。バイク全体に、子供としか思えん大きさの指紋やら掌紋がびっしりとついていたらしい。しかも、一台だけじゃない。見つかったバイクのすべてに、びっしりとついていたんだとさ。 それから数回、夜中にあの峠道を走る車やらバイクやらが次々と行方不明になってな。ある時を境に日没から夜明けまでは決してあの道を通らせないようにしたのさ。

行方不明になった人間?今でも見つかってねーよ。いわゆる神隠しってのに遭っちまったのかもしれねーな。だからよ、絶対にあの道は夜封鎖しろよ?そうじゃないと何が起きても知らねぇぞ?」




ペンネーム:飛騨の雪景色
2022/10/9配信 https://youtu.be/m5xHSYY9_E4
怖いお話募集フォーム https://forms.gle/ybMkLAd37RsCguKr8
※ご投稿内容に改行や誤字脱字修正等の加筆をしていることがあります。

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