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兄妹の距離感

最近、娘のずりばいが格段に上手くなり気が付けばいろいろなところにはっていくようになった。己の興味のあるものを見つけると、手足を器用に動かして目的地までまっしぐらだ。

その結果、今一番興味があるものが息子のおもちゃになっている。息子がおもちゃで遊んでいると、笑顔で突進しておもちゃを口に加えようとするのでおもちゃを息子が取り上げる。

今までは息子自身が、妹におもちゃを手渡しに行っていたのに妹が自ら取りにくるのはイヤらしい。

「おもちゃ貸してあげてたら? 欲しそうな顔しているよ~?」

「やだー! これぼくのー!」

確かにおもちゃはキミのだけど、娘は別のおもちゃを口にくわえているけどそれはいいの?とたくましく泣かないで次の標的にむかった娘を横目で見る。

仲の悪い兄妹ではないのだけど、娘の成長がどこか兄のイライラにふれているようで冷たくみえることがあって妻と心配していた。

ある日、娘の機嫌が悪く癇癪を起すことがあった。泣きわめく娘を抱き上げなだめようとするが、雷の落ちる前のようにためて大泣きするので困り果てていた。

ちょうど、妻が美容室に行っており、もうすぐ帰宅するというタイミングだったので早く帰ってきてー!と心の中で叫んでいた。

玄関のドアが開く音がすると、息子が走りだし妻の手を引きながらコチラにむかってきた。すると、娘のほうを指さして

「ママ、おっぱい! ママ、はやくー」

「教えてくれたのー、えらいねーありがとう」

妻がぎゅっと息子を抱きしめると、泣いている娘に授乳をはじめた。一生懸命のどをならして母乳を飲む妹を愛おしいそうに撫でる息子を見つめていた。

「やっぱりこの兄妹仲いいよね?」と妻に小声でささやいてみる。

「そうだよね、仲いいよね。ところで私の髪型については何かないのかしら?」

そういう妻の顔は何か期待している様子だったが、息子たちに目がいっていたので気のきいたセリフが出てこない。

それがわかったか、後からフォローしたが夕食ぐらいまで冷遇された。




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