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短歌「春の日」

かなしみの風に攫はれゆくやうな春の日ありて布団干しをり

 父のことを思い出すたびに申し訳なかったと思う。そういうふうに子どもが亡くなった親のことで後悔をしていると、親のほうが冥界で閻魔様に、「子どもを苦しめている」と裁断されるのだと、友人から教えてもらった。逆に親に感謝していると、よい裁断が下されるのだとか。もちろん父には感謝してもしきれないくらいの思いはあるが、さりとてもっと大切にすれば良かったとの思いは、亡くなって4年になろうとするいまも、ぬぐい去ることが出来ずにいる。

 だが、父のことを思い出しながらベランダで布団などを干しているとき、ふいに心地よい春風が吹いてきて、気がつくとかなしみをわすれている、そんな日もある。

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