短歌「母は背負えぬ」
戯れず母を抱へて軽からず歩めずなどと泣いてをられず
啄木ファンを敵に回すかな・・・? そう思いつつ、介護をしていてこう詠みたくなってしまった。自分で立つ意志のない人間の重いのなんのって。九十を超えた老婆だからと言ったって甘く見てはいけない。もっとも啄木の歌は、実際にお母様を背負われたときに詠まれたものではないらしい。むしろ遠く離れたお母様を思慕して詠まれたものと考えるなら、いま母と一緒に暮らせている私が、母を抱えて重いからと言って、啄木に噛みつくのは筋違いというものだろう。
最近は、ベッドから車椅子への移乗もその逆も、ほとんどこちらが抱えないと出来なくなってしまった。軽くはないけれど、泣きたい気持ちは私にもなくはない。