詩「枯れた蔓」
花守る蛇
草むらで風に揺れる
うすむらさきの小さな花
摘もうとすると
枯れた蔓が巻きついていて
容易に摘ませない
可憐な花の根元には
蛇が潜んでいる
花を摘むことはおろか
花びら一片も欠けないように
守っている
でも、それは
ほそいほそい蛇で
人はおろか
蜂や蝶さえも
追い払うことはできない
それでも蛇は
生涯花を守り続ける
そして花が萎んでしまうと
茎に巻きついて
餌を断って干涸らびる
草むらの中で
花に巻きついている
枯れた蔓の中には
そんな蛇の
亡骸も混じっている
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