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短歌「へこみ」

亡き父の乗りし車をわれが継ぎそれぞれ付けしへこみが二つ

 父と私はほぼ体格が同じだ。だから、私は父の着ていた服をほとんど着ることができる。ワイシャツがたくさん残っていて、私も自営業ながら仕事ではワイシャツを着ることにしているので、それはかなり助かる。

 物にはあまり執着しない人で、コレクションなどとは無縁の人だったが、唯一車には愛着があったようだ。その父が乗っていた車を譲り受けたのだが、一カ所どうしてこんな場所にへこみが出来たのだろうと思うような箇所にへこみがあった。

 車に愛着のない私は、それを直さずに乗っていたが、今度は自分がへこみをつけてしまった。父の付けたへこみはあまり気にならないのに、自分のつけたへこみは気になる。

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