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The Bear and the nightingale (The winter night trilogy)

キャサリン・アーデン著、ジャンル:ファンタジー
The bear and the nightingale, The girl in the tower, The winter of the witchの三部作

あらすじ
アメリカの作家キャサリン・アーデンの2017年に刊行されたデビュー作で、The bear and...のあとにさらに2冊が続くトリロジー。中世ロシアが舞台で「冬の王」などロシア民話で語られてきた妖精やお化けの類と心を通わせる地方貴族の娘ヴァスヤが主人公で、一族の女性の血にひそかに代々受け継がれてきたヴァスヤの不思議な力で禍々しい悪を封じようとする。しかしそんなヴァスヤの行動は土着の宗教を排除するキリスト教の力との軋轢を生み、ヴァスヤは村の人々からも魔女とささやかれ追い込まれていく。また、結婚か尼になるしか選択肢がなく、一人で旅することも政の発言もできない女性としての立場に置かれるヴァスヤは、血を分けた家族といさかいを経ながらもそのすべてと戦って、村を、ロシアを救うために走る。


感想

ファンタジーとして優れた作品であるのは読者評価の高さからもお墨付き。冬の王との関係が、守られる立場から反発して離れ、のちに冬の王を救うために行動を起こして再び心を通わせる成長の物語でもあり、女性主人公が失敗しながらも自分の自由と権利を求め、葛藤を経て既存の女性像ではない何かにたどり着くところも素晴らしい。

現実が厳しい時はファンタジー!魔法の世界!という単純思考で読むことにしたのですが、作者は1年ロシアに暮らしてロシア語を勉強した下地があり、あの何種類もあるロシアのニックネームなんかも出てきます。2巻、3巻になるにつれて民話だけでなく中世ロシアの政治要素も全面に出したストーリー展開で内容の厚いYA。

中世ロシアを舞台とするこのトリロジーを読みながら、私は本に登場する飲み物・食べ物に興味津々でした。今まで飲んだこともないのに、黒パンからクヴァスを醸造してみたり、ハニーケーキとやらもそれらしいレシピを調べてみたり。2巻以降はヴァスヤが成長していてミード(はちみつのお酒)を酌み交わすシーンがやたら登場するので、妖精にミードを一杯わけてやるヴァスヤの様子を読みながら私もミードを買ってきて飲んだりしたし、余韻冷めやらぬ3部作読了後は新たにロシア料理本を購入してラズベリークヴァス(これは大成功!)やボルシチも作ったのでした。 



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