The Book of Stolen Dreams 稀覯書「盗まれた夢の本」を手に入れるのは、独裁者?反政府勢力?それとも未来を担う子供たち?

デイビッド・ファー著、刊行日2021年9月30日、ページ数:384、ジャンル:児童書/ファンタジー

あらすじ
 舞台は極悪なマルスタイン大統領が独裁政治を敷く国、クラスニア。もうすぐ12歳と14歳になるレイチェルとロバートの兄妹2人は、図書館司書をしている父フェリックスに連れられて閉館後の図書館に忍び込み、500年前の稀覯書「盗まれた夢の本」を持ち出す。マルスタイン大統領は永久にその独裁を続けるため、この美しい稀覯書の秘密を狙ってフェリックスを牢獄に送り、何としても本を手に入れようとする。フェリックスはひそかに本をレイチェルとロバートに託し、この二人の子供も本を巡る闘争に巻き込まれていく。子供たち二人は「盗まれた夢の本」の秘密を解き明かし、マルスタインの魔の手から秘密を永久に葬り去ることができるのか‥‥‥!?

感想
 ナイトマネージャーや『MI-5 英国機密諜報部』(Spooks)など、テレビドラマ、映画、舞台演劇の脚本で活躍しているディビッド・ファーの初の著作で、子供たちへの愛あふれる目線がチャーミングな語りの児童書ファンタジーです。政変と独裁政治、子供たちの外出禁止、反政府組織、大統領暗殺事件に面会禁止の強制労働監獄などなど、なかなかハードな内容も出てくるのですが、そんななかで12歳と(もうすぐ)14歳のレイチェル&ロバートの兄妹が持ち前の能力を発揮して、未来を切り開いていくのです。レイチェルは読解力が優れ暗号や謎を解くのが得意で、ロバートが首をひねっている問題もものすごい勢いで考えて答えを見つけるし、一方ロバートは空間把握能力が優れていて地図無しに見知らぬ土地をぐんぐん進み、頭を働かせて謎を解くのに忙しいレイチェルが立ち尽くしていても目的地へさっと導きます。そう、二人はお互いの得意なところを尊敬し合い、不得意なところを補い合える兄妹なのです。
 魔法の稀覯書を滅ぼしてしまえば、病で死に瀕しているマルスタイン大統領がその力を使って永久にクラスニアを支配しようという野望が潰えるわけですが、物語の後半にある秘密が明らかになる時点で「あれ?この本をいったん滅ぼしても、○○を××すれば同じものをもう一度作るのも不可能ではないんでは?」と思っていたら、物語の終了後に「第二巻がもうすぐやってくる…!」の宣伝が。あ、やっぱり笑。ええ、昨今は児童書といえば三部作、三部作と言えば児童書ですものね!3巻まで出そうな予感、乞うご期待!

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