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なんかわからんがすごい「Tetris Effect」

はじめに

PS Storeのセールで半額で売ってたので買いました。

ちょっと前の話になるんですが、このゲームの発売元であるエンハンスという会社の社長さんの水口さんという方の講演記事を読む機会がありまして。

RezとかルミネスとかChild of Edenとかを作った人、というと「あぁ~」となる人が増えるかもしれません。以下、記事から引用します。

その一方で,「テトリス エフェクト」をプレイした人がSNSに「泣いた」というコメントを投稿するケースは多く,それについて水口氏は「僕らは,キャラクターやメカニズムなどを駆使して,いろんな感情を求めて化学反応を起こすようにゲームをデザインをしている」「解像度が可能にする新しい表現の組み合わせによって,体験を共感覚化していく傾向は確実に強くなっていく」と説明。またそうしたデザインは容易ではないが,「続けていくと,ゲームもアートの領域に入っていくだろう」と話していた。

いろいろ気になるところはあったんですが、一番気になるのはテトリスで泣くという表現。ほんとぉ?と思いつつもその時は買わなかったんですが、今回のセールで「買え」と言われた気がしたので購入。プレイしました。


無理やり書いた感想

以下、感想を書いていくのですが(素人なのでJourneyモードをBeginnerで全クリアするぐらいまでしかやってませんが)。

まず、一つお断りをしないといけないことがありまして、あの、その、このゲームから受けた体験を言葉で説明できる気がしないです。マジで。

冒頭にYouTubeにあるローンチトレーラーのURLを貼りましたが、これだけ見ると「なんかきれいな風景をみながらきれいな音楽をききながらテトリスやるんやな」と思うと思うんです。そしてそれは間違いなく正しい。このゲームをまとめて言ってしまうと、「いい感じの音楽といい感じのパーティクルエフェクトがある中でテトリスをするゲーム」です。

ただ、そうなんですけど、そうじゃないんですよ。もう、ほら、日本語おかしくなってきた。

わかりやすい例として「音」について書いてみます。

ゲームの音って雑に二分するとSE(操作に対応してなる音)とBGM(操作に対応せずになっている音)の2種あると思うんですが、これがもう、ようわからん。

SEは自分の操作に対するフィードバックとして再生されるものなんですが、これがよくわからなくなっていきます。各ステージの最初でテトリスを積んでいくときはBGMはほぼなく、自分でテトリミノをつんでいく操作に対するSEが流れているんですが、ラインを消してゲームが進んでいくと、それに対応してBGMが大きくなってきて、対応するSEも変わっていきます。このへんで、どこからがBGMでどこからがSEかが曖昧になってきます。もちろん自分で操作したSEもなってるんですが、それがちょっと長いというか、後引く感じになっているので実質的にはBGMにもなっていて、テトリスしながら音楽を演奏しているかのような謎の感覚が生まれてきます。

ちなみにこれがエフェクト側にも反映されていって、最初は暗めだったり静かめだったりしたエフェクトがだんだん激しく、でも鬱陶しいということはなく、ただただ鮮やかにキレイになり続けていきます。

そして、意外と感想記事にかかれていないんですが、コントローラーの振動も音と連動しています。たかだか手に来る振動だけでしょう、と思う方も多いかもしれないですが、これが馬鹿にできないです。特にBGMの低音と連動してコントローラーが震えるのがめっちゃ良くて、やっぱりよくわからないけど気持ちよくなれます。

これらを言葉にすると、「ゲームプレイに対応してエフェクトと音と振動がなんかいい感じになっていくんやね」で終わっちゃうんですよ。終わっちゃうんですけど、もう、そうじゃねぇんだよ、そんな軽い言葉で終わらせちゃダメなんだよこのゲームは。フェラーリを見て車だねって言ってるようなもんなんだよ。でも「フェラーリのなんたるか」というのを話せるほど俺の語彙が優れていないので何も言えないだけ。タイトルに「なんかわからんがすごい」という言葉を書いたのもそのせいです。もう、なんかわからんがすごい。「言葉を失う」という言葉がこれほど似合うゲームも無いんじゃないでしょうか。

このひたすらにきれいで美しい音・エフェクト・振動に溺れるようになりながらテトリスをやるという体験は、多分触ってもらわないとわからないと思います。自分の操作が反映された結果、画面の中のなんらかが動いて、紆余曲折あった後に操作したプレイヤーが気持ちよくなるのがゲームなのですが、その紆余曲折部分、ゲームのシステムだったり演出だったりがテトリスエフェクトは本当になんかわからんがすごいです。脳がバグるってこういうことを言うんだと思います。


ゲーム「テトリス」としても成立している

ちょっと蛇足かもしれませんが、ゲームなので、ゲーム自体の話もしていきます。ゲームですが、まぁ、テトリスなので、テトリスをします。当たり前ですね。テトリスはご存知の通り、落ちてくるテトリミノを積み上げていって、ラインを消してスコアが加算されていくゲームです。で、そのときに時間が立つとだんだんテトリミノが落ちてくるスピードがだんだん上がっていきます。

テトリスエフェクトの場合、このスピードの変化がステージによって全然違います。基本的にはだんだん早くなっていくのですが、ときには遅くなったりもします。このあたりの緩急が結構でていて、急に早くなってワタワタします。ワタワタしてると大体BPMが高めのいい感じの音が流れ出してきて、そしてワタワタしてクリアした後に次のステージに行くと、BGMが控えめでSEだけでテトリミノが落ちる速度がゆっくりの、落ち着いた世界に入っていきます。毎ステージこの盛り上がりと落ち着きが繰り返されていきます。この、テトリスの展開に追従する感じで周りが変わっていくのがすごく良いです。ただ単にテトリスに気持ちいい音・エフェクトを足し算したのではなく、ちゃんと混ぜ込んで、新しいテトリスのゲームとして作り上げているのがすごく良い。それもそのはずで、冒頭の記事曰くテトリスのための事前制作に2年も費やしているとのこと。この完成度、まぁ、2年かかるわな、という納得感があります。それぐらいにちゃんとゲームしています。


まとめ

個人的には買って大満足でした。Stay Homeなご時世でなかなか外にも出られないので、家の中でできる新しい体験ってものに飢えている方も多いのではないかと思いますが、そういう方にもぜひおすすめしたい一本。美術館とかに行くのと同程度の「なんかよくわからんがすごい」を体感できます。



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