いい夢みろよ 城と駅篇
※注)トイレのお話があります。
お食事中の人、ごめんなさい。
11/5(日)
01:40
行く手の左手を川が流れる。
河川敷は遊歩道となり
照らされた街路樹が
秋色に柔らかく綺麗。
月もまだ見える。
風はほぼない。
うどん屋を出てからここまで。
アーケードを南へ歩くと
大通りにつながり、長い長い
商店街は途切れる。
すぐに大きな川と橋がある。
天神橋
アーケードの名前にもある橋。
途中に螺旋の大きな階段があり
中之島と繋がっている。
見やれば島の東の突端のようだ。
島部へは降りて行かず、橋を渡りきる。左折。
そして街路樹美しいこの遊歩道に行き着く。
河川には船着き場もあるようで
この大きな川を遊覧船で観光でもしたら
それはきっと気持ちいいだろうな
なんて思う。
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さて。
まあまあ歩いてきた。
腹にいれたら、でるものもある。
人体とは誠に鬱陶しい代物じゃのう
仕方がないよな、生理現象なんだから。
公衆トイレを探す。最寄りは2ヶ所か…
次の橋をまた北へ戻ったところに1つ。
もしくは、大阪城の公園の中に1つ。
近いとこから行くか…
閉まってたら移動しないといけない。
まだ切迫してないからいいけど…
そう思いつつ天満橋北詰の
publicrestroomへ。
個室のドアを開ける。
言葉を失うとはこのことだな。
…えー、そんなことある?
流石にこれは写真撮れないねぇ…。
いや、撮ったらいかん状態だな…。
センシティブが過ぎる。
どうしたらその位置にそんなに大量の…。
天地の角度を90度回転させたの?
理解を越えた状況に便意もなりを潜める。
自分の中では人生で3位以内に入る
この世のものと思えない理解不能な光景。
そっと扉を閉じ、橋へ戻る。
えー?なんだったんだろう…。を
しばらく繰り返し南下する。
2ブロックほど進み、左折。
路肩の工事をしている。右手に大きな病院。
施設表記に、国際がんセンターとある。
建物の外観は、特撮の基地のようにデカイ。
なんか建物割れて航空機とか出てきそうだな。
反対側の施設は大阪府庁らしい。うん。
なんだかスゴイ場所にきてしまったな。
ゴモラとか出てこねぇかな。
妄想するくらいには余裕もあったが、便意も
「そろそろ出番でしょうか」
とアップを始めている。
もう目の前は大阪城のお堀のようだぞ。
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公園の敷地に入ったらしい。芝生が多い。
随分モダンな感じの公衆トイレが現れる。
ここが封鎖されていたらまた探さないと…
そうなれば、いっそお堀にでも飛び込むか。
バカを言うんじゃあない。
さぁ、どうなる?
結論。ちゃんと綺麗で紙もある、
便座も温かい普通にいいトイレでした。
府庁直近の公衆トイレ。流石綺麗にしてある。
アレだな。それなりにでかい会社とか
公共の大きな施設の側のトイレは
概ね綺麗な場所が多いな。
みんな綺麗なふりしたいんだろ
大体中身は一緒なんだけどね。
すっかりスッキリしたところで。
ここは大阪城。
天守閣近くまで行くか?
城攻めかぁどうしようかな
城の奥へ続く道の両側は
これでもかとライトアップされている。
深くまで行かなくていいや。今回は、ここで。
月も一緒に記念撮影
歴史ある公園には相応の樹木があるもので。
ここも例外ではないようだ。
まだ酔いが覚めていないのか、
松の写真を撮りまくる。
普段、小さな盆栽の雑木やら松柏やらを
写真におさめたり、手入れしている。
大きな樹木を見ると興奮する。
昼間だったら通報されてしまうかもしれん。
人目がないとまあまあおかしな事してても
自分が気にならない(気にして)。
奇行が過ぎる。
ひとしきり鼻息荒く写真を撮り
公園の西南端にあるベンチへ座る。
時刻は02:30。ちょっと休憩しよう…。
疲れちゃった。
背負っていた荷物を胸に抱き締める。
月が見下ろしている。
ふぅ、と息を吐き目を閉じる。
なにも心配はいらない
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03:40
はひ。
夜露でズボンがしっとりとしている。
一刻ほど眠りに落ちていたようだ。
体も冷えてきている。
座ったまま周りをぐるっと見回してみる。
公園の西南端は広く大きな交差点。
角向こうのビルに、N、H、Kの文字。
うわ、大阪放送局さんでしたか。
今まで気がつきませんで失礼しました。
会社の前で酷い寝顔晒してすみません。
お疲れ様でございます。じゃ👋😃
サテ。
ここから大阪上本町まで30分。
そこから鶴橋まで12分。
足腰は痛くも痒くもない。が。頭が重い。
明らかに飲み過ぎのよう。
酔いがより悪い方向に行かないようせねば。
始発までまだまだ時間はあるが
休んでばかりいてはいけない。
駅まで行かねばの
ベンチで座ったまま寝たせいか
体が強ばっている。
関節を解きほぐし
髄の推力を上げる。
よし。
まっすぐ南下して歩けば
すぐに大阪上本町だ。
しかし
休んだとはいえ、ド深夜の徘徊は
なかなかに厳しいものがあり。
1時間以上かけ、休み休み歩く。
大阪上本町駅の地下入口の横を通り
下り坂を歩いて鶴橋駅まで。
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大阪はそれぞれの駅周辺で
ガラリと空気が変わる気がする。不思議だ。
まだ街は眠ったままだが、朝の呼び声は近い。
鶴橋はガチャガチャしてると聞いていたが
急に異世界になったようだ。
迷い混んだら出られなくなりそうな路地。
店は閉まっているものの道は明るい。
シャッターは夜の息を守る。
しかし、鶴橋駅の改札はどこだ?
線路は頭の上のようだが…
高架をくぐる。
やぁ堪らんね。
裏路地は好きだ。ここも明るい。
この明るさは安全のためだろうか。
と思うのもつかの間
駅…前…?
きっと夜だからだろうけど
ディープな雰囲気だ…
あ。あった。駅の案内。
改札はあったが、やはりまだ開いていない。
どれくらい待つのかな。
時間は今…、04:50か。
始発は44分だから、まだだいぶあるな。
いままで通ったルートを見てみる
駅前のすみっこに座り膝を抱える。
もう今日は、歩くのはおしまいにしよう。
次の予定のため体力温存したい。
駅が開くのを待つ。
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実は、音楽は生き物で、触れるたびに
まるで違って聴こえるもので。
見える景色も色合いも変化する
みたいなことを、最近よく思う。
あまり音楽を聴いていない頃は
音楽の世界観というのはそれぞれの曲で
大きく決まっているように思っていた。
大枠はそうなのかもしれない。むしろ
そうあるべきと考える人もいるだろう。
「原曲に忠実であるべき」などと。
私も、かつてはそう思っていた。
CDで聴いたり、動画配信で聴いたり
それぞれで音楽に触れることはできる。
だが、やはりライブ。ライブなのだ。
そこでは景色がまるで違って見えてくる。
生で歌声を聴き、掻き鳴らす楽曲を聴き
体現させていく音楽の世界は
どこにもなかった景色を見せてくれる。
自分が今の時間を生きている実感も
音楽のある時代が変化する変遷も
聴いている自分が変化していくことも
みんな目の当たりにしながら
心に火を灯していくことだから。
身を削り
命の時間を削り
世に出てくる、音楽家たちの音楽たち。
知ること、聴くこと、触れることは
新しい生きている時間を見つけること
そう思っている。
いい夢を見ているように、生きていく。
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07:33
伊勢中川駅 2番ホーム
朝のまどろみの中で
いつの間にか伊勢中川に到着する。
いや。時間通りではあるのだが…
名張で乗り換えたのを全く覚えていない。
えー、怖。
電車でいっぱい寝てたみたいだね
まあいいか。生きてるみたいだし。
駅の待合室にて時間を潰そう。
次の予定、9時まで1時間以上ある。
お腹がすいた。
頭もお腹もスッカラカンだ。
空っぽくらいが丁度いいんだけど、
やっぱり今から1日動かなきゃいけない。
ヨシ。クァベギでも食べるか。
美味しい、スッゴいでかいけど。美味しい。
ありがとう。
あの時ステージでこの話がなければ
この朝の空腹は満たされなかったでしょう。
待合室に朝の日が差し込む。
天気も良さそうだ。
今日も今日とて「みどりの日」
楽しくやろう。
おしまい
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