SAI NO TSUNO犀の角

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  • 短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」

    2023年9月8日〜10日の3日間に犀の角を会場にして実施した短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」についてのnoteです。

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短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート⑦山下智代さん

「モヤモヤ」なんか怖くない、たぶんこれからは 最終日。会場を飛び出し、キャリー片手に上田の坂を駆け下りた。限られた時間の隅から隅まで味わい尽くしたくなる濃密な3日間で、懇親会まで例に漏れずギリギリで21:29発の新幹線になんとか乗り込んだのだった。 あっという間に東京に着いて、眠気にまみれながら構内へ下りると、眠る気配のない東京の人混みとスピード感がどっと押し寄せてくるように感じた。同時に、3日間が特別な何かを纏っていて、特別ではない自分をあたかも特別のように扱ってくれてい

    • 短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート⑥志村茉那美さん

      初めて上田のまちを訪れたきっかけは、無言館だった。 あれは夏だったと思う。大学院の先輩が長野市の美術館で展示をしていたので観に行ったら、ついでに一緒に長野観光でもしようという話になった。当時は東京に住んでいて運転免許すら持っていなかった私は、「せっかく長野へ行くなら無言館にも行きたい」「上田市まで行くなら上田映劇も見てみたい」と(図々しく先輩に運転をお任せして)上田市まで足を運んだのだった。そしてその時先輩に「やどかりハウス」、「うえだ子どもシネマクラブ」の存在を教えてもらい

      • 短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート⑤かたやまももこさん

        前置き ここから、どんな風にはじめて行こうか? 大学で地域創生について、フィールドワークを中心に、農業、公共交通、まち、観光、魅力発信などそれぞれに対するプロジェクトを行っていた私は、ひとが豊かに暮すきっかけを生み出すことや、地域コミュニティをよりよいものにすることへの関心が高まっていました。 大学4年生のとき、カタリバという高校生に対話の授業を届ける活動を運営するなかで、目の前のひとの人生の傷に向き合うことや、”対話”の重要性を強く実感しました。 そして、自分の好きだっ

        • 短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート④高橋ありすさん

          この研修を通して自分が今いる環境を考え、最後はモヤモヤが増えたような気がします。 私は芸術とまちづくりに興味があり、大学でもそれを学んでいます。私がこの研修に参加した理由は、様々な立場の人、行ったことがなかった地域で活動している人に出会い、私と地域について考えるきっかけになるのではないかと思い参加しました。 1日目【モヤモヤを語る会】 私はグループ分けでは公共施設・行政機関のグループに加わり、普段大学に通うなかでのモヤモヤ、地方都市でのモヤモヤが思い浮かび、共有しました。

        短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート⑦山下智代さん

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        • 短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」
          8本

        記事

          短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート③越口花梨子さん

          舞台や芸術と普通の人や子どもたちをつなぐには?そんな興味から参加を決め、活気ある小劇場「犀の角」へ足を踏み入れた。 1日目、まだなんとなくソワソワする感じを抱えながら最初のディスカッションへ。 私が参加した教育・福祉分野のグループでは「命を全うするとは」に始まり「表現と生活の境目は」「相手の表現を受け止める土壌を作るには」といった抽象的な話題が多かったのに対して、公共施設・舞台・芸術分野のグループでは「お金」にまつわるあれこれが大きな議題の一つだったことがとても印象に残って

          短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート③越口花梨子さん

          短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート②匿名参加者さん

          上田という「場」と芸術の関わり、そこから見える芸術の価値について。 1.研修に参加したこと 今回、この研修に参加したのは「芸術」についてちょっと立ち止まって考えてみたかったからです(私の場合は特に「演劇」ということになります)。経済的な基盤が脆弱なため、「金」が支配しがちなこの分野において、いったんそこから離れて芸術・演劇の価値について多角的に見つめなおしたいと思っていたのです。ある種デトックスと言えるかもしれません。「金」が毒というわけではないのですが……。興行収入、助成

          短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート②匿名参加者さん

          短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート①坂口彩夏さん

          私はなぜ、今ここにいるのだろう……? 黒い壁一面に貼られたカラフルな付箋たちをみて、ついさっき出会ったばかりの人とすごく切実に真剣に言葉をかわしているときに何度も思った。 偶然の偶然にこのプログラムに出会って、「えいっ」と参加してみたものの、犀の角に来るまでは本当に不安だった。 私は何者でもない。 俳優ですと言えるほどの立派なキャリアもない。ただ、私は演じるということに救われてきた。演じることや作品を通して、考えるということを取り戻せた。私を見つめることができるようになってき

          短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート①坂口彩夏さん

          短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート⓪イントロダクション

          はじめに長野県上田市にある劇場兼ゲストハウス「犀の角」は、今秋「表現/社会/わたしをめぐる冒険」という短期研修プログラムを実施。さまざまな分野で表現にたずさわる35歳以下の若者たち13名が犀の角に集い、三日三晩、言葉や想いを交わした。 短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」の概要は以下の通りだ。 35歳以下の受講者13名、すでにそれぞれの分野や現場で活躍しているメンター17名、地域の人たち総勢30名以上が犀の角でそれぞれの抱えている想いを「もやもや」と称し、

          短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」|レポート⓪イントロダクション

          【羽衣プロジェクト】7月10日(月)

          この日は9時にホテルを出発。予定がみっちりです! まずは昨日時間切れで見られなかった資料館「みほしるべ」を見学します。 静岡県三保松原文化創造センター 6つのエリアに分かれており、三保松原以外の国内外の「羽衣伝説」が伝わる地域の紹介や「羽衣伝説」を元にした様々な芸術作品に関すること、さらには三保松原をいかに未来に引き継いでいくかという環境保全に関する活動の紹介など多岐にわたって展示がありました。 シャンカルさんと美加理さんが特別惹かれたのは「羽衣伝説」に登場する天女が持っ

          【羽衣プロジェクト】7月10日(月)

          【羽衣プロジェクト】7月9日(日)

          「羽衣プロジェクト」は、長野県上田市にある犀の角と南インドケーララ州にあるサヒヤンデ劇場が協働し、3年かけて「羽衣伝説」から着想を得て演劇作品を創作する企画です。 このnoteでは、その過程をお伝えしていきます。 初年度となる今年は7月に19日間にわたって、静岡県、山梨県そして長野県をリサーチして回りました。 創作のためのインスピレーションを探すこの旅のメンバーは、サヒヤンデ劇場を運営するシャンカル・ヴェンカーテシュワランさんを演出家として、静岡県芸術センターや国内外で活躍

          【羽衣プロジェクト】7月9日(日)

          羽衣プロジェクトリサーチ11日目

          2日間のブレイクを挟み、後半の旅がスタート。 束の間の別所滞在は、前半怒涛のように様々なもの、こと、ひとに出会った時間をゆっくりゆっくりと咀嚼し、思考する時間となりました。 今日は、再び静岡へ。 旅をともにしていた美加理さんが、ご出演される舞台を見に静岡芸術劇場を訪れます。 静岡アーツカウンシルにご挨拶をした後、会場へ。 今回の舞台の演出であり、SPAC(静岡県舞台芸術センター)の芸術監督である宮城聰さんにもお会いすることができ、 そして、存分に作品世界に浸ることができま

          羽衣プロジェクトリサーチ11日目

          羽衣プロジェクトリサーチ7日目

          昨日、リサーチ6日目はメンテナンス日ということで各自別所温泉内を見学。 別所神社の神楽殿を見たり、ここまでの旅の疲れを癒す1日でした。 さて、もうリサーチが始まり一週間が経過しました。 今日は別所温泉よりさらに奥、野倉という地域へ向かいます。 上田地域や松本周辺に伝わる「小泉小太郎伝説」もしくは「泉小太郎伝説」の生まれた地とされている鞍が淵からスタート。 蛇の骨を発見しました。やはり、竜や蛇にまつわる事柄が集まって来ます・・。 その後は、茶房パニでランチ。 実は「パニ」

          羽衣プロジェクトリサーチ7日目

          羽衣プロジェクトリサーチ5日目

          リサーチ5日目、明け方ドーっという豪雨の音で目が覚めました。 霧ケ峰高原の端っこ、ヒュッテみさやまから出発です。 山小屋のすぐ脇には旧御射山遺跡があり小さなお社の神社があります。 小屋主の三井悠さんにはここでの暮らしや小屋の歴史を色々とお伺いしました。 さて、山を下りてからは諏訪大社の上社をまわります。 お昼はネパールカレーのお店でランチ。 本場のネパールカレーも食べたことのあるシャンカルさん。 現地より美味しい!と感動してくださいました。 諏訪周辺に残る古代信仰や

          羽衣プロジェクトリサーチ5日目

          羽衣プロジェクトリサーチ4日目

          飯田の町に宿泊した昨夜。 朝起きると、ホテルの窓からは正面に大きな山々。 朝もやがかかりとてもきれいです。 日が差し込んでいるものの、予報では雨が降るよう。 今日は湿原の中の山小屋を目指すので、天気が崩れるのはちょっと心配です……。 さて。 何故か他の宿泊客が職人さんばかりなホテル。 朝ごはんを食べて、チェックアウトギリギリに出発すると駐車場には我々の車しか残っていませんでした。 飯田市のある伊那谷には伝統芸能がたくさん残されています。 今日はアーツカウンシルの交流会

          羽衣プロジェクトリサーチ4日目

          羽衣プロジェクトリサーチ3日目

          山の上の宿舎で、もりもりと朝ごはんを食べ一日がスタート。 山といえどやはり海が近いためか、朝からかんかんと暑いです。 今日は、インドでの制作期間が長くモチーフにも色濃くその影響が現れている、旧磐田郡二俣町(現天竜区二俣町)出身の画家、秋野不矩の美術館へ。 とても素敵な館長さんにご案内いただき、これまた貴重な経験をさせていただくことができました。 午後は電車と車で天竜川を遡ります。 時間の関係で河口(海)から始めることは叶いませんでしたが、かなり海に近いところから遡り始め、

          羽衣プロジェクトリサーチ3日目

          羽衣プロジェクト〜全体リサーチ2日目〜

          昨日7月9日は時間切れで三保の松原の資料館を見ることができませんでした。 全員揃ってのリサーチ2日目は資料館「みほしるべ」から始まりました。 ※館内撮影禁止でした。 実際の羽衣の切れ端とされる布地が展示されていたり、世界・日本各地に伝わる羽衣伝説がまとめられていたり、当初はさらっと見るつもりだったのですが、序盤からじっくりゆっくり時間をかけて見学しました。 さっそく、スケジュールが押しています! さらに西へ移動し、浜名湖の南、海との境に程近い弁天神社をお参り。 ここに

          羽衣プロジェクト〜全体リサーチ2日目〜