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ウィズコロナスポーツを作ろう 検証編

ウィズコロナ時代に合わせた感染対策を行ったスポーツを作るという過程を通じて、ゆるスポーツの作り方を解説する本連載。今回は検証編をお送りします。
ちなみに、先程完成間近まで書いた文章がオペレーションミスで全て消えました…
悲しすぎる。

前回の記事はこちら▼

仮説編で様々な仮説を立ててきましたが、大前提の仮説はこちらとなります。

それぞれのエリア内でしか活動出来ないようなルールにすると、ソーシャルディスタンスを保ち、密を防げるスポーツになっちゃう…はず!

これを個々人がフラフープを持ち、そのフラフープから出ないでプレーをすることでソーシャルディスタンスをキープするという方法で実現することになりました。

その上で、下記のように様々な仮説を立ててきました。

仮説①フラフープの中でしか動けないとそもそもサッカーとして成立しないのではないか?
→ボールが繋がらずいつまで経ってもゴールまでたどり着かない?
対応策:通常は5対5で行うフットサルコートに、普段より多めのプレイヤーを配する。※もちろん密は防ぎながら
仮説②サッカー経験者が有利ではないか?
→正確にボールを蹴ることが出来るサッカー経験者はパスも正確に出来るし、遠くからロングシュートで点をどんどん取ってしまうのではないか?
対応策A:通常のサッカーでは使わないボールを使うことにより、経験者でも正確にボールを蹴ることが出来ないようにする。
対応策B:ロングシュートで得点がされないように、ゴール近くからのシュート以外はゴールに入っても得点を認められないようにする。
仮説③相手の保持しているボールを奪えないので時間稼ぎが容易に出来るのではないか?
→勝っている局面であれば1人がずっとボールを保持するという判断をしてしまうとゲームとしての面白さがなくなる。
対応策:1人のプレイヤーがボールを保持できる時間に制限をつける。
仮説④自分のフラフープ内しか動けないため、ほとんど運動量がないのではないか?
→体を動かすということを楽しむという観点から言うと運動量が足りない可能性がある。
対応策:一部のプレイヤーが動ける時間を作り、すべてのプレイヤーがローテーションで動けるようにする。

これらの仮説を実際にプレーをしてみることで検証をしていきます。
今回は場所はフットサルコート、呼びかけに応じてくれた20名の方たちとスポーツを開発していきます。

まずはシンプルなルールでやってみよう

スポーツにおけるルールは少なければ少ないに越したことはありません。フェアに、目的に即したスポーツを行える範囲で、最小限のルールにすることで、プレイヤーがプレーに集中し、場が盛り上がり、楽しさを生むことになるのです。

そのため、ゆるスポーツをつくる場に於いてはまずは最小限のルールで行いながら、必要に応じてルールの肉付けを行っていきます。

今回は仮説に基づいて下記のようなルールを基本としました。

・10対10、フットサルコートで行うサッカー
・感染症予防の観点でキーパーは置かず、手は使えない。
・フラフープを地面において、その中に必ず片足がついた状態でプレーする。
・フラフープの移動はできない。
・ロングシュートが飛び交う展開にしたくないため、ゴールエリア内でのシュートのみ得点として認める。
・ボールを受けたら3秒以内にパスをしなければいけない。
・ルール違反をした場合には、「クールダウン」ということで審判の指示があるまでフラフープないで体育座りしてプレーには参加できない。

やってみた結果がこちらです。

ソーシャルディスタンスを保つという仮説は証明されました。
しかし、いくつか問題点が浮かび上がってきます。

問題点1:サッカー経験者と未経験者にパスの精度に大きく差がある。
問題点2:試合に直接的に絡んでいるプレイヤーが少なく、人によっては一度もボールを触れずに終わってしまう。
問題点3:動きが少なく、スポーツ的な盛り上がりにかける。

これらの問題点、すでに仮説として挙げていた内容となります。そのため、今回は様々な策を用意しています。それらの策が実際に機能するかを試していきましょう。

道具を変えてみよう

前回の投稿でいかに「なっちゃう」という状況でにできるかがゆるスポーツを作る上で重要とのことを書きました。
今回は前述の3つの問題に対して、道具を変えることで「なっちゃう」を作っていければと思います。つまりこういうことですね。

問題点1:サッカー経験者と未経験者にパスの精度に大きく差がある。
サッカー経験者と未経験者にパスの精度に差が出なくなっちゃう。
問題点2:試合に直接的に絡んでいるプレイヤーが少なく、人によっては一度もボールを触れずに終わってしまう。
みんながボールに触れて、試合に参加しちゃう。
問題点3:動きが少なく、スポーツ的な盛り上がりにかける。
動かなくちゃいけなくて、盛り上がっちゃう。

道具を変えるということは「なっちゃう」を誘発するための手法のひとつです。
普段のサッカーボールと違うものとしてやや小ぶりのバランスボールを用意してみました。これにより、サッカー経験者と未経験者の技術の差をなくすとともに、コントロールが難しくことにより、よりボールが動くということを想定しました。また、全員にパスが回ってゴールをすると3得点になるというルールも追加して皆がゲームに参加出来るようにしました。
その結果がこちらです。

だいぶ盛り上がってきました。
これはこれでスポーツとして成立しそうです。

でもせっかく検証ができる機会なので、別のパターンも試してみましょう。

運動強度を変えてみよう

スポーツに於いて、適切な運動強度はより楽しくプレーする上で非常に重要となってきます。
置かれたフラフープから出ずに、プレーをするということで、一旦ソーシャルディスタンスを保つサッカーは出来ました。しかし、今回の参加者は20〜40代の方たちが多かったので、少し運動強度的には足りないと感じる部分もありました。
少しルールを変えて、運動強度を挙げていきたいと思います。

運動強度については仮説④ですでに想定をしていたため、予め準備をしてきました。用意したのは、5色の画用紙です。

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これはそれぞれが持っているフラフープの色と同じものです。今回1チーム10人なので、各チーム2名ずつは同じ色のプレイヤーがいることになります。
これを利用して下記のルールを作成しました。

・審判が1分ずつ色のついた画用紙を掲げ、掲げられたプレイヤーのみが移住が可能となる。
・色が変わった段階で移住中のプレイヤーはその場に定住しなければいけない。

実際やってみるとこんな感じになりました。

あ〜ソーシャルディスタンス…

ボールに人が密集することでソーシャルディスタンスが保てなくなってしまいました…。これでは本末転倒なので対策が必要です。

空気を読まなくていいルールを作ろう

ゆるスポーツを検証していくと仮説とのギャップが生まれてきます。このギャップを埋める作業が最後の仕上げになってきます。
今回でいえば、「動くプレイヤーを限定すればソーシャルディスタンスを保って、密は作らないだろう」と思っていましたが、「動くプレイヤーを限定するだけではソーシャルディスタンスは保てず、密になる」ということです。

スポーツをするとみんな熱中してしまいます。そのときに、「空気を読んで」と言う指示はもっとも行ってはいけないものです。空気を読めば、プレイヤーは萎縮をして、スポーツに没頭をすることが出来ないからです。
むしろスポーツ作りにおいて空気を読めないプレイヤーは大歓迎です。熱中したり、勝ちたいという思いが強いプレイヤーが、競技の問題点を顕在化させてくれるからです。

さて、この顕在化した問題点をどう対応するか。こういうときのためにルールがあります。
例えばサッカーは勝ちに徹していくと、反則をされていないのに反則をされたフリをして、審判に反則を取ってもらおうとします。これを「サッカーは紳士のスポーツだからそんなことをしたら駄目だよ」と言っても、生活がかかっているプロの選手は「そんなの知ったこっちゃねぇよ!」となります。

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そのために、あるのがシミュレーションという審判を欺く行為をした場合の反則となるのです。

今回、ソーシャルディスタンスを保てず、密になってしまうのは、こちらで考えたルールが足りないからです。
そのため、下記のルールを追加することにしました。

・相手プレイヤーとの距離は常に2mを維持し、2m以内に近づいてきた側のプレイヤーを反則とする。※つまりボールを保持しているプレイヤーからボールを奪うことはできない。
・プレイヤーは各チーム各色5名ずつをハーフラインで分けたエリアに配置する。
・ドリブル(3回以上一度にボールに触る)ことは出来ない。
・ボールを蹴るときは必ずフラフープを地面に置く
・これらの反則を冒した場合には「クールダウン」で審判の指示があるまでフラフープ内で体育座り

さて、これで実施をしてみましょう。

突然のルール追加なので、プレイヤーがまだ順応できていませんが、ソーシャルディスタンスを保ち、密を防ぐ、運動量もそれなりにあるサッカーが出来上がりました。

この新しいゆるスポーツを「ステイホームサッカー」と名付けましょう。
改めてステイホームサッカーの完成したルールです。

1:基本的にはサッカーと同じ。パスを繋いで、ボールを相手ゴールへと入れるスポーツです。
2: 1チーム10人の2チームに分かれて、試合を行います。試合時間は5分。
3:全5色の「ホーム(フラフープ)」をひとりひとつ割り当てます。
4:各チーム、ハーフコートに5名(各色1名)ずつ、フルコートで計10名(各色2名)ずつ、配置します。試合開始後の配置変更はできません。
5:プレーヤーは、自分の置いた「ホーム」の中から移動できず、「ホーム」の中に必ず片足をついてプレーしなければいけません。
6:「移住」を許されたプレーのみ、制限時間内であれば、自分のいるハーフコート内を自由に移動可能。ただし、ボールを蹴るときは「ホーム」を地面に置きましょう。
7:パスは3秒以内。下記は、「クールダウン」の反則で、「ホーム」の中で座って待機します。
   ・ 両足が自分の「ホーム」から出る
   ・ 2m以上、プレーヤー同士が近づく(近づいた全員がクールダウン)
8:制限時間内に多くの点をとったチームの勝利です。

今回の検証の模様をダイジェスト映像でお送りします。

ここまで、3回に分けてソーシャルディスタンスを保つウィズコロナスポーツを作る過程を投稿してきました。
スポーツを作るという作業は、きちんとした仮説とそれに対応する対策、そして、実践を通して様々なルールを追加し、アジャストをするという過程で作られていきます。

もしかしたら最初は難しいと感じるかもしれませんが、スポーツを作るスポーツクリエイティブ能力は場数を踏めば踏むほど上がってきます。これまで、5年間スポーツを作ってきた僕が言うのだから間違いありません!

ウィズコロナの中で、満足にスポーツができないということはたくさんあると思いますが、できるものがないのであれば、作ってしまいましょう!

これぞというスポーツが出来たら、「 #ゆるスポーツ 」のハッシュタグをつけて、SNSに投稿してください。僕と代表の澤田はSNSに投稿された内容はいつも見ています!







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