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On the border〜知らない世界に会いに行く〜山本沙羅篇

作中に登場する職業の方に実際に会いに行き、お仕事の実態をお伺いする「On the border~知らない世界に会いに行く〜」、今回は作中で、銭湯大黒湯で働く大崎舞子を演じる山本沙羅が、銭湯「みどり湯」オーナーさんにお話を伺ってきました!

この「みどり湯」さん、実は8月にハマカワのお友達、藤尾勘太郎くんが個展を開いたギャラリー「yururi」さんの真隣にあった銭湯さんなのです。聞けば、ギャラリーと銭湯、どちらも同じ経営元とのこと。ご紹介していただき、今回の取材と相成りました。ご縁が繋いでくれたこの取材、本当に裏の裏まで見せていただいてしまいました!



お話を伺った方

清水智子さん
銭湯「みどり湯」、ギャラリー「yururi」オーナーさん。
他にも音楽サロンなどのお仕事をされていらっしゃるとのことです。



ロビーにて、お邪魔します

ハマカワ(以下、ハ) みどり湯さん、すごく新しいですね!
清水智子さん あ、でも新しいのはフロントとここのロビーだけなんですよ。去年の11月にフロント、ロビーだけ、一部改装したんです。
 みどり湯さん自体は、創業はいつになるんでしょうか。
智子さん 元々は昭和32年かな。ずっとここでやっています。
 その、創業の時からみどり湯さんのお名前でやっていらしたんでしょうか。
智子さん そうですね。
 こちらのH Pを拝見したら、沿革のところで大正時代から、みたいな文言もお見受けしたんですが・・・
智子さん あ、そうなんですよ。元々は私のひいおじいちゃんがいろんなところで銭湯やっていたんです。元は7、8軒あったんですが、残った一つがここ、みどり湯なんです。
 そんなにたくさん!
智子さん とはいえ、実際の経営は別の経営者さんにお任せしてたんです。7、8軒も一人ではやれませんから。会社として人を雇いやってもらってました。みどり湯もそのうちの一つですが、おまかせしていた方がお年になったので、社長、というか私の父なんですが、父が、当時全然違う仕事をしていた私に銭湯を任せるようになった、というのが14年前、ですね。
 みどり湯さんと、お隣のギャラリーの他にもお仕事をされていらっしゃるんですか?
智子さん あ、そうです、近隣で音楽サロンをやっています。会社自体の話で言うと賃貸マンションとかも経営していたりします。銭湯だけ、というわけではないですね。
 銭湯以外のお仕事も兼業されるパターンって、多いのでしょうか。
智子さん わかんないです笑。うちに関しては、元銭湯の土地に賃貸用のマンションを建てたりして別の事業展開に時代で変えたものもありますが、ギャラリーに関しては本当に私個人の発想でやっていることなので、よその銭湯さんがどうなのかはちょっとわからないかな・・・。
 ギャラリーさん、私、藤尾勘太郎くんの個展でお邪魔したんですが、こぢんまりしてすごく居心地のいい空間でした。素敵な空間だなって。
智子さん ありがとうございます。元々私がアートとかに興味があって。そういう「空間」みたいなものが好きでやっていますね。
 この、フロント?も、ちょっと、ギャラリー部分と共通した感じの空気感を感じます。
智子さん あ、そうなんですよ。ギャラリーからの発想で、このバーカウンターとか、アート掲載スペースとか。当初はこういうものを作る発想はなかったんですが、ギャラリーの方でそういう(ドリンクバーイベントなど)ことをされる方が増えたりしたので、こっちの銭湯でもやってみたらどうかな、と思って始めてみました。みどり湯発ではなくて、ギャラリー発のアイディアなんですよ。
 でもよく見てみるとこの、バーカウンターって、番台って言われるようなあのところと、作りというか、趣は似ていますね。
智子さん 一応、全部計算はして世界観は統一して、つくっていますね。
山本(以下、山) ここで、イベントとかも開催されていらっしゃるんですか?
智子さん そうですね。バーカウンター出店の方や、販売の方など、H Pの方に詳細やスケジュールは載せていますのでよろしければご覧いただけたらと思います。
 いわゆる銭湯のイメージと、結構違った趣ですね。
智子さん そうかもしれないですね。というか、私自身が「いわゆる銭湯」ってどんなものなのかちょっとわからないかもしれないです。
 沙羅ちゃんこの間、銭湯カフェ?なんだっけ、行ってたよね。
 十条駅にある銭湯カフェですね!行ってきました。
智子さん ありますよね。こんなタイミングで言うのも申し訳ないのですが、私自身に「銭湯を経営している!」っていう意識があんまりないので今回のインタビュー参考になるかわからないなと思ってたんですが・・・笑
 いえいえそんな。(山本に)銭湯カフェは昔っぽい雰囲気だったの?
 そうですね。入ったら木の下駄箱があって。
智子さん レトロな雰囲気ですね、昔の作りを活かした感じのところですね。
 そうですそうです。お客さんは、年配の方が多かったです。こちらのみどり湯はおしゃれな作りで、若い人も入りやすいだろうなって思いました。お店の前通った時に、そう感じて。
智子さん ありがとうございます。
 私は大学の演劇サークル出身なんですが、学内公演の千秋楽の後に大学が閉門した後、銭湯に行くのが習わしだったんです。
 ああ、私のとこにもありましたー!行った!
 銭湯行って、汗流してさっぱりしてから、飲み屋に打ち上げに行って。朝まで飲んで。っていう。
智子さん へえー!え、どこの区の、なんてとこですか?
 世田谷区の、松原湯、ってとこでした。明治大学の近くです。
 私も行ってました。松の湯さん。早稲田の演劇サークルの人はみんな行ってました。でもそこ、最近閉店しちゃったんですよ。みーんな悲しんでました。
 減ってるんですかね、銭湯自体の数。
智子さん 減ってるらしいですね。
 わざわざ行くところ、になりつつあるのかなとは思うんです。お家にお風呂ないおうちも少なくはなってるでしょうし。
智子さん ええ、そういう意味では随分前から、そうだと思います。
 私個人的になんですが、すごく好きなんです、銭湯。500円くらいで全身リラックスできてさっぱりできて、時間潰しに入ったりすることもあるんです。
智子さん あ、多分そういうお客様も結構いらっしゃる感じはしますよ。外回りのサラリーマンみたいな方が、お疲れで、営業の途中にちょっと来られたんだろうなっていう雰囲気だったりする方とか、いらっしゃいますね。
 智子さんはこちらの番台に立つこともおありなんですか?
智子さん ありますよ。でも、他にも仕事は色々しているので多くて週3、4回って感じです。
 なるほど、まちまち。
智子さん あとね、これは番台ではなく、フロントですね。
 あ、番台ではなく、フロント。
智子さん 皆さんがおっしゃる番台っていうのはこうちょっと高くなっているところに、あるもので、私の中ではこれはフロントなんです。だからここにいる人のことも「番頭」って皆さんおっしゃいますけれど、そう言われるのも違うな、って。みどり湯はフロントスタッフと呼びます。
 オシャレな空間ですし、番頭さんっていうのも似つかわしくない感じはしますね。
智子さん でも皆、番頭って言葉を使いたいんだろうなって思います。
 「番頭さん」って言いたい、みたいな。レトロ懐古というか。
智子さん そうですそうです笑。最近本当にそういうの感じますね。「番台」って言いたいみたいな。
 その単語を使う機会がないから。笑
 そうね、番台にしても、銭湯以外で無いような・・・ありますかね?
智子さん まず番台がある銭湯が少なくなってるんじゃないでしょうか。番台って、男湯と女湯が両方見渡せるところにある、座る人も男性も女性もいる、っていう、そういうスタイルのところは減って、フロントスタイルに移行している気がしますね。
 あんまり意識したことがなかったかもしれません。その違い。
 うん、これは固定観念だったかもしれません。ちゃんと書いとこう・・・

業界の横のつながり談義

 フロントとしてご出勤される場合の、1日の流れを教えていただいてもいいでしょうか。
智子さん 12時半くらいに出勤ですかね。オープンが13時なので、午前中から売り上げ計算とかあるときはもう少し早く来ますけれど、メインは経営の仕事なので、基本、居ても14時半とかまでですかね。
 営業は何時までなんでしょうか。
智子さん 夜10時までですね。
 10時クローズっていうのは、早い方ですか?
智子さん 早い方です。深夜2時くらいまで開けている銭湯さんもあるんじゃないでしょうか。
 この営業時間に、何か理由はあるんでしょうか。
智子さん 早く寝るためです笑。
 なるほど笑。
智子さん あとはアルバイトさんの通勤の、終電とかのこともありますのでね。うちはこの時間にしています。
 アルバイトさんは何人くらいいらっしゃるんですか?
智子さん 3人ですね。社員が4人です。
 学生さんとかですか・・・?
智子さん えーと、学生ひとり、社会人二人ですね。
 募集する時は求人媒体に掲載したりとかですか?
智子さん いや、求人媒体は使ったことがないです。Twitterで募集のお知らせをしたり、あとは知り合いの紹介とか、たまに向こうから「やりたいんですけど、募集はしてませんか」って問い合わせされることもあります。
 Twitterの話出ましたけれど、S N Sはどの程度使っていらっしゃるんでしょうか。
智子さん 基本的にはH Pだけです。Twitterは夫に任せています。
 そうなんですね、なるほど。インスタはどうでしょうか。
智子さん インスタは、ギャラリーyururiと共同で私がアカウント持っていますが、そこまで頻繁な更新はしていなくて、ゆるっとした使い方になってますね。
 S N Sの力って影響力として、感じることはありますでしょうか。
智子さん うちは集客のためにS N Sを頑張ってるってことは全くなくて。あんまり活用しよう!って感じでもなくて、Twitterとかもお付き合いで始めたみたいなところがあるんです。目黒区の浴場組合で、Twitterみんなでやってみよう、っていう試みが出た時に一緒に流れで始めたんですよ。
 浴場組合・・・?あるんですね、銭湯を経営してらっしゃる方の連盟的なもの?ですか。
智子さん どこの業界でもありますよね?床屋さんなら床屋さん、美容院なら美容院、って。
 銭湯の方の、横のつながりの組合、連合、みたいなものを私が知らなかったものですから・・・なるほど、組合・・・
智子さん え、そんなにびっくりすることですか?笑
 集まり、総会、とか、そういうものがあったりするんですか?
智子さん そうですね、支部会、みたいな形でありますね。
 目黒区の銭湯の方々がみんな集まる、みたいなことなんですか?
智子さん え、いやそんなにびっくりするようなことでしたか??
 あの、逆に私たちがそういう業界にいない、というか。
智子さん 組合って名乗るか、とか、地区で区切って、とか、違いは色々だと思いますけど、たぶんどこの業界でも横のつながりはある気がします。
 単純に我々がこう、地に足のついていない仕事なものですから・・・
 そういう組合に参加することがないので・・・
 例えば演劇界で言うなら、劇作家協会とか、脚本家の方の参加する協会はあるんですが、
智子さん そういう感じです。
 なんですけど、俳優は横のつながりとしてユニオンを組む、横のつながりとして支え合う、というところからはちょっと切り離されてしまっているというか。同業の人たちが組合を作って、横のつながりで支え合う、ということに関して、単純に自分たちの経験としてイメージが追いついていないんだと思うんです。
 役者にもそういう組合があった方がいいよね、っていう話はもう何年も前からあちこちで出てはいるんですが・・・。
智子さん あぁ、なるほど。そうなんですね・・・
 ものすごく長い撮影の拘束時間ですとか、危険な撮影で怪我をする可能性があったりとか、舞台でも死亡事故の例はあったりもしますし、それこそ「ガラスの仮面」の月影先生みたいに機材が落ちてきて残るような怪我を、とか。そういう状況に対する補償がないんですよ。すごく有名な俳優さんが声を上げて俳優を守るユニオンを作ろうとしたりした動きはあったんですが、なかなかスムーズには難しいようで。
智子さん 日本は文化芸術に対する理解がすごく遅い、というのはあるかもしれませんね。
 そうですね・・・
智子さん だから演劇とかそういったことには、その、アートという意味で興味あります。
 あっ、なんだっけ、なんか銭湯でやる演劇、みたいなの、それこそあった気がするんだけど、沙羅ちゃんわかる?
 ああ、聞いたことある!なんだっけ・・・
 思い出せない・・・。や、でもちょっと話戻りますけど、組合。いいですね。心強いこともありそうな気がします。
 そうですね、横のつながり、素敵だな、いいな、って思っちゃいました笑
 どういうお話をされたりするんでしょうか。
智子さん 行ってるのは私じゃないんですが、そうですね、柚子湯とか、季節の取り組みみたいなこととか、ですね。

銭湯とスーパー銭湯を分けるのは?

 銭湯の運営をなさっている中で、銭湯ならではの困った出来事ですとか、そういうことがあれば伺ってみたいんですが。
智子さん 機械の突然の故障です!
 故障は困りますよね・・・。どんな機械があるんでしょうか。
智子さん バーナーとか、濾過器とか、サウナのスイッチとか。突然壊れるってことが起きると、営業できなかったり修理しなければいけなかったりするので、ヒヤヒヤはします。
 そういう時って、営業全体を止めちゃう、みたいになったりもするんでしょうか。
智子さん 全体止めちゃう、ってことは滅多にないんですけど、それでも年に1回くらいは「ごめんなさい今日はサウナ使えません」っていうことがあったりしますね。
 近年はサウナブームもあるみたいですけれど、サウナ目当てのお客様とかいらっしゃいますか?
智子さん そうですね、増えたようには感じます。
 サウナはもうずっと前からあるんですか?
智子さん 平成3年に付けたそうです。
 平成3年から!沙羅ちゃんより年上だ。
 ここのフロントに立っていらっしゃる方で、フロントチーフ・・・?のかたはどなたなんでしょうか。
智子さん うちの夫が、店長です。彼を多分みんな「番頭」って呼びたいんでしょうね笑
 ついそう呼びたくなっちゃう笑。
智子さん 番頭って呼んでる銭湯ももちろんあるとは思います。
 沙羅ちゃん、ちょっと作中でも表記揺れというか、あった気がするんだけど、舞子さんって「経営者」なんだっけ・・・?
 うーん・・・3代目、みたいな?両親がまだ健在で、ゆくゆくは継いで、経営者になる、ってことだと思うんですよね。
智子さん 作品観に行きたいので、お知らせいただけますか?
ハ・山 ありがとうございます!!
 物語の序盤にですね、銭湯で起きたトラブルに端を発して話が転がり始める、という感じなんですよ。
智子さん ん、機械が壊れたとかですか?
 刺青が入ってるお客様を、拒否してしまってトラブルになった、っていう話が出てくるんです。
智子さん 刺青ですか?みどり湯はO Kですよ。
 あ、こちらはO Kなんですね。
智子さん 多分、銭湯、公衆浴場は刺青O Kなところがほとんどかと。公衆浴場っていうのは国民の公衆衛生を守るっていうのが義務なので刺青があったとしても基本的には断らないかと。
 都道府県ごとに入浴料が決まってるんですよね、確か。
智子さん そうですね。決まってます。
 そこに則って営業してるのが銭湯、ってことなんですね。
 銭湯とスーパー銭湯を分けているのは、何があるんでしょうか。
智子さん 国民の健康を守る、公衆衛生を守る、という銭湯の規定の中でやっているかどうかだったと思います。
 銭湯は健康を守る、生活に密着している、ってことですね。
 娯楽としてのスパリゾートが、スーパー銭湯。
 すごくおしゃれなので、ここ。おしゃれな空間も提供している銭湯、って素敵だなって思います・・・
智子さん 銭湯だからおしゃれじゃない、古いって思ってる方が多いと思います。レトロで古臭くて、っていうところに型をはめたいんだな、っていうのをすごく感じるんですね。
 実は最後に伺おうと思っていた質問で、「なんとなくのイメージで、ステレオタイプな表現や思い込みで、銭湯や銭湯の従業員がこんなふうに扱われたら嫌だな、っていうのはありませんか」っていうのがあったんですが、すでにちょっと踏み込んでお聞かせいただいてしまった気がします笑。
智子さん 別に固定観念に反発した上でやっているわけでもないんですが、なんというか・・・別に、好きにやってよくない?っていう気持ちなんですね。驚かれたりすることに、逆に驚く、みたいなね。こうあってほしいとか、こうあらねば、みたいなイメージって、お客さんの方が持ってるかな、って思ったりしますね。
 テルマエロマエとかも流行りましたけど、あれで出てきた銭湯とかはかなりトラディショナルな銭湯でしたよね。
智子さん そうですね。メディアの影響はやっぱり大きくて。例えばマスコミで「銭湯が少なくなってます」と言えば「わあ、銭湯ってもう危ないんだ!」みたいになってしまうんですよね。で、訊かれたりしても、「すいません、別にうち困ってません」っていう。
ハ・山 笑!
智子さん 多かれ少なかれマスコミの影響は受けますよね。もちろんみどり湯もサウナブームの恩恵にも預かってはいますし、サウナ入りたいっていうのは本能的に「汗を出したい」っていうのがあってのことだとは思うので、ブームがあって好きになった、という方がいることはいいことかと。
 なるほど・・・。あの、ちょっと話が戻るんですけど、刺青の入っている人を、公衆浴場はそもそも断らない仕組みになっている、っていうことなんですよね。
智子さん そうですね。他の人に迷惑かけてないならみどり湯は断らないです。
 作中では、刺青の入った外国人のお客さんを入湯拒否しようとして、トラブルになって、訴状が届いてしまう、っていうエピソードが冒頭に出てくるんですね。
智子さん あぁー!なるほど。でも、刺青あるか?って服着てる状態ではわからないですよね。
 確かに!
智子さん 他のお客さんからの情報で「あの人すごいよ全身アートだよ」って言われたこととかはあります。
 うーん・・・これは・・・裁判、負けるね・・・?
 台本読み直さなきゃだ笑
智子さん 「刺青ごときでダメってなぜダメと言うのかな」って気になりますね。
 外国人の人が多い地域なんですけど、ずっと何年も来てくれてる年配のお客さんが多くて、体の大きいその外国人を怖がる年配の人を守らなきゃ、っていう、感情ですね。感情で動いているところがあって、裁判になったら「それはあなた違うよ」って言われるんだな、って今思いました。
智子さん 問い合わせが来ることもあります、電話で「タトゥーあるけど平気ですか」って。全然どうぞ、って言いますし、他のお客様に迷惑かけなければヤクザだって断りませんから。ヤクザだから断る、って理由は公衆衛生の前では無いですし、「あなたヤクザですか」って訊いたりもしないし笑
山・ハ 笑!!
 だから、きっとあれですね、断ったのも、刺青があったからではなくて、他の理由、その人が何かトラブルを起こして、その人に見事な刺青が入ってた、ってことになるのかもしれないですね。
智子さん ああ、そういう理由であればあり得ますね。
 書いた脚本家も「これはこのまま裁判に行くと負ける案件」とは言ってたんです。で、そのトラブルの話が出てきたところからは随分遠い箇所なんですが「刺青ある人もお風呂入ったっていいじゃないですか」って言うセリフも出てきたりはします。
智子さん なるほど。調べていろんな角度から描かれているんですね。
 今、お話を聞いてて、腑に落ちました。私の役の人が、やっぱりその、外国人の人に対して個人的な思い入れが強かったんだな、と、銭湯を経営する側としてはちょっと偏った思い入れで突っ走った、行き過ぎた思いがあったんだな、という気づきがありました、ので、あの、ちょっと頑張ります!
 あ、気づきを得たようです!!
智子さん 笑!
 深めていけそうです。
智子さん よかったです。
 あの、この取材、すでに何件かさせていただいてるんですが、今回が一番お話が新鮮な驚きのある取材になったかもしれません、お話が思いもしなかった方向に行ったりして、すごく楽しかったです。ありがとうございました。
 私も、すごく型にはめて色々考えてたんだな、って改めて思いました。ここでしか聞けないお話がたくさん聞けて。本当にありがとうございました。




ロビーにはポップな色味で彩られた、ベトナムカゴバッグフェア。木製のお椅子はカフェにも置かれていそうな可愛らしさで、ギャラリーからトータルコーディネートで空間を作っていらっしゃる智子さんのこだわりが詰まったみどり湯さんでした。おしゃれで落ち着ける木の空間には、銭湯が古くさいって決めないでほしい、とおっしゃった智子さんの言葉が染み渡っているようでした。古くからの銭湯は、じゃあ逆に何を守って大事にしているのかな、と、トラディショナルな銭湯の姿にも想いを馳せる。そんな時間になりました。

みどり湯の皆様、本当にありがとうございました!


取材先情報

みどり湯
目黒区緑が丘2-7-14
問い合わせ 03-3717-4516(定休日木曜日)


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