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デザイン批評の本を読んで

制作会社でアプリやWebサイトのUIデザイナをしているはぎなおです。(最近は業務システム多め)
社内でのデザインフィードバックで

❌ 噛み合っていないなー🥲
❌ グダグダしているなー🙄
❌ 表現の幅を狭めているかも🤔

と感じることが何回かあったので、時間のあるお正月休みを利用してデザインフィードバックについて書かれている書籍を読んでみることにしました。

この記事の内容は本に書いてある内容で有用なものを自分の解釈でまとめたものです。これから実務で試していきます。記事を読んでより詳しい内容が基になる方はぜひお手にとってみてください!

批評とは

言葉の定義

「感想」や「レビュー」など似たような意味の言葉があり、ややこしかったので言葉の定義を確認します。

批評
デザインやアイデアなどが目的に沿ったものか客観的に話し合い、価値を決めること。
改善プロセスでは適切な意見の一致における重要な役割を果たす。

フィードバック
批評の場でデザインやアイデアに対して述べられる考えや視点。
考えや視点は客観的に目的に沿ったものかを意識して述べられる。

自分の周りにはこの2つの言葉を明確に使い分けている人はいませんね。どちらを使っても通じる印象です。自分の中では批評は場、フィードバックはその場で述べられる考えのようなイメージです。

役割

批評には2つの役割があります。

受ける側
批評のなかで取りあげられた視点や情報を受け止め、詳細に検討し、何らかの方法でそれに基づいて行動を起こす。

行う側
デザインについて批判的に思考し、その考えや視点を述べる。

心構え

効果的な話し合いを行うために以下のような心構えで望みます。

受ける側
デザインの各要素がプロダクトの目的を果たすのに機能するかどうかを理解しようとすること。
行う側
デザインの各要素がプロダクトの目的達成のために有効かをデザイナーが理解できるように、手助けすることによって貢献したいと思うこと。

つまり
・プロダクトの目的を軸にデザイン要素について話そうとする
・相手の意見を尊重する
ということかなと。

また、批評はコミュニケーションなので受ける側、行う側双方の歩み寄りが大事ですね。チームで働くデザイナーであればどちらも経験することがあると思うので、相手の立場で想像しやすいです🙌

フィードバックタイプ

フィードバックには3つのタイプがあり、それぞれを理解することでフィードバックに対応し、活用することでデザイン改善に活かします。

🙅‍♂️ 反応型
直感的な反応。相手の期待している言葉を発している場合もある。
個人的な感想であり、プロダクトの目的やユーザーの目線を意識していない場合が多い。

🙅‍♂️ 指示型
助言または提案から始まる、指示がベースになっているフィードバック。提案した理由を聞き出す必要がある。
指示を与えること自体は間違っていないが、この時点では場違い。

🙆‍♂️ 批評的思考
目的を果たすために機能しているかを評価する。
批評では批評的思考を用いて、デザインが望まれる目的を達成する。

指示型はやってしまったことあるー
ごめんなさい、、

批評の構造

批評には重要な4つの要素があります。分析しているデザインを批判的に思考し、活用できるフィードバックをするために必要な情報です。
(本の中では結果を除いた3つですが、結果がある方がわかりやすかったので追加しています)

・「デザイン」または「アイデア」
・画面、プロダクトの「目的」
・目的をサポートする機能を果たす「理由」(果たさない理由)
・デザインまたはアイデアによってもたらされる「結果」

これらの要素は4つのシンプルな質問で明確にする事ができる。

  1. デザインの目的は何か?
    デザイナーが達成しようとしている目的を明らかにし、何に照らし合わせて分析しているのか理解する。

  2.  目的に関連しているデザイン要素は?
    目的のために機能しているデザインの側面や要素を特定する。

  3. その要素は目的を達成するのに効果的か?
    デザインの目的と要素が明らかになったところで目的達成のために機能するか尋ねる。

  4.  それはなぜか?
    最後に、選択によって生み出される結果について検討する。

ここまで批評について簡単に説明したので、具体的にどのような行動を取るべきなのか、またとるべきでない行動はどのようなものかについて書いていきます。

批評を行う側

有益な批評

具体的にどうすれば有益な批評になるのか箇条書きします。

✔️ 質問から始める
より多くの情報を得ようとしている。会話のきっかけになる。
相手に気楽に答えてもらうために質問の仕方は気をつける。
例えば、「どうして〜なのですか?」よりも「〜にの理由について教えてもらえますか?」のほうが気楽に答えられる。

✔️ フィルターを通す
プロダクトの目的を達成できるか、ユーザーのためになっているのかというフィルターを通す。

✔️ 思い込みをしない
選択の裏にある制約を知ろうとする。
思い込みを避けるために質問をする。

✔️ 押しつけない
聴く準備を整えるチャンスを相手に与える。準備ができていないと、フィードバックを無視したり、関係性が悪くなるかもしれない。相手との関係性を良好に保ちながら批評を行う。

✔️ 肯定的な意見
うまく機能しているものとその理由についても話すことで批判的なフィードバックを気楽に受け入れらるようになる。
また、素晴らしかった要素が変更されないようにする効果もある。

✔️視点について考える
自分の専門的知識とユーザーの視点のバランスをとる。
例えば、「ユーザーの視点からすれば〜ですが、インタラクションデザインの観点から考えると〜です。」のような感じ。

悪い批評

批評する際の注意点を悪い批評を例に箇条書きします。

❌ 自己中心型
批評者の個人的な目標が優先されており、誰かの役に立ちたいと思っていない。
わかりやすい例だと、TwitterやInstagramなどのSNSでの機能変更に対してすぐに避難をし、デザイナーやチームが何を目的に変更したのか全く考慮せずに批評をする。
また、自己中心的な批評に悪意がない場合も多いと認識しておく。

❌ タイミングが悪い
求められていないタイミングで来る。作業の途中かもしれないし、批評を受ける側も聴く準備ができていない。

❌ 説明が足りない
理由が述べられていない。理由があれば代替案や他の部分の調整を検討することができる。

❌ 偏っている
個人の好み。デザインを改善するためになんの情報も得られていない。
あなたはユーザーではない。

批評を受ける側

続いて、批評を受ける側の良い例、悪い例についてまとめました。

良い例

✔️ 批評の目的を意識している
批評は理解と改善のためであり、何かを判定することではない。デザインを批評する際の会話はどの道をたどればより最終目標に近いのかを教えてくれる道標である。

✔️ 聴いて、考えてから反応する
批評者が何を言いたいのか理解することが重要。
批評を受けるときは当然生まれる反論したいという気持ちを抑え、相手の考えを最後まで聴くことに集中する。理解できなければ相手に尋ねても良い。
逆に、相手の分析に役立ちそうな情報があれば説明することもできる。

✔️ 基本に戻る
デザインしようとしている目的とほとんど関係のないフィードバックが返ってくるかもしれない。そういうときは、すでに意見が一致しているプロダクトの目的を軸に話を進める。批評者が目的との関連性を理解できるようになれば、デザインの改善に役立つフィードバックが帰ってくる可能性が高まる。

✔️ 参加する
批評を受けるとき自らも批評者になることが重要。
自らも積極的に批評することにより、デザイナーを傷つける恐れはないかという思いを払拭し、気楽に会話に参加してもらう。
また、批評のモデルになることで役立つ批評の収集と円滑な会話の進行が容易になる。

悪い例

 フィードバックを聴こうとしない
フィードバックを依頼するのなら、どんな反応が帰ってこようとも聴く必要がある。批評する側は聴く気がないことを察すると自分の意見を言う気が失せ、参加したくないと思うようになる。

 賞賛や承認を求める
作ったものを認めてもらいたと思うのは当然だがそれをフィードバックの動機にしてはならない。「素晴らしい」賞賛の言葉だけではデザインを改善することができない。

 フィードバックを全く求めない
デザインやアイデアを改善するチャンスを率先して求めるべきだ。他者の経験や専門知識を有効活用し、デザイン上の判断についての情報を得ることができる。
誰かが向こうからフィードバックを持ってきてくれはしないし、フィードバックが無いからといって自分のデザインが完璧なソリューションではない。

まとめ

✍️ 感想
批評ではついつい具体的な解決策を提示したりしがちでしたが、批評の目的を理解することで一度自分の中で再考してフィードバックを述べることができそうです。
また、受ける側としての心構えを言語化したものは読んだり、聞いたりしたことがなかったのでとても勉強になりました。早速実務で実践していきたいです。

📘 本の内容について
自分の解決したい課題は序盤の章に解決法が書いてありましたが、ファシリテーションやブレストなど自分の知りたかったこと以外にも有益な内容がありました。こちらも気が向いたらまとめてみようかなと。

最後まで読んでいただきありがとうございました🙌 🙌 🙌

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