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仕事の心構え

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会社の方針や、見聞きしていいなと思った考え方を思い立つままに綴っています。 このマガジンの内容はKindle本でも好評発売中です。
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2021年5月の記事一覧

介護における「不適切なケア」とは

特にニュースで注目されやすいのが児童虐待事案。 児童福祉法に定められた虐待防止等に関する法律には、 とあります。 高齢者や障害者の虐待防止法においても同様に、虐待の疑いのある対象者を発見した場合は通告の義務が生じます。 身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト、経済的虐待など様々な形での虐待がありますが、虐待の定義を知っておかないとその行為者自身が虐待を行っていると自覚していない場合も多くあり得ます。 特にご家族に認識されていない行為者がいらした場合、身内として

利益の機能

本コラムでもおなじみの当社創業者の師匠である一倉定先生は、利益について次のように述べられています。 会社を絶対に潰さないために必要なものが利益です。 ただし、利益よりも大切なものがあります。 それが、お客様からの信用です。利益はあくまでも積み上げてきた信用の対価として手元に残ったもの。最終的な目的ではありません。 金儲けを目的としてしまうと、信用よりも利益を先に採るような判断がなされてしまい、結果信用を失うような組織の在り方がお客様や世間に否定されて会社は潰れていきま

サービスとホスピタリティの違いとは

以前のコラムで、相手からの信頼を得るためには「信用」という客観的な事実を積み重ねていく必要があると述べました。積み重ねてきた過去から今までの信用の実績が、未来への信頼へとつながります。 また、相手から信用されるためには相手からの期待に応えること(期待を下回らないこと、または期待どおりかそれを上回ること)についても触れてきました。 「せめてこれくらいはしてくれるだろう」というお客様からの期待に対して、私たちはどのように向き合っていけばよいのか。 どうすればガッカリさせない

自信と誇りを守るには

前回のコラムで当社には「経営方針書」の用意がある、という話をしました。 正しい経営をするには、その指針となる正しい考え方を全社で共有する必要があります。 指針というのは、物事の良し悪しを測る「ものさし」のことでもあります。 社歴の長さや、立場など関係なく、皆同じ尺度で判断をしていく。入社したてのスタッフであろうと、サービスを提供する立場であれば、それが会社を代表してのサービスになります。 サービスを受ける側のお客様からしたら、スタッフが会社のことをどれだけ知っていよう

経営方針書の意味

これまで当社の経営方針の一端は、ところどころで紹介してまいりましたが、そもそも経営方針書とは何のために用意しているものなのか。 何度も触れてきましたように、創業者の師匠である一倉定先生の教えに「顧客第一主義」と「環境整備」と「経営計画書」の三大要素があります。 当社で用意している経営方針書も、三大要素のひとつである経営計画書と同様のものとなります。 企業にとって最も大切なのは、サービスや商品ではなく、どのように考えて行動するかということ。 同じケアプランのもと、決めら

余計なフィルターをかけない

これまでもお客様からのクレームについての話は触れてまいりました。 当社ではクレーム発生自体の責任を責めることはしない、という方針があります。問題を起こした当事者を責めることはしない、ということです。 責めると誰も報告をしてくれなくなります。報告が上がってこないと問題が解決できないことからお客様の要求を知らないうちに無視することになり、お客様を失うことになります。 もっと悪いことには、責められた当事者であるスタッフも嫌な思いをしたことから退職されたりすると、スタッフも

「お客様」という呼称の意味

今更ながらですが、「お客様」という呼称について。 当社では、サービスを提供するお相手のことを「お客様」という呼称で統一しています。 それは、相手に対しての尊敬の念や感謝の気持ち、それからおもてなしの心などを含めていることはもちろん、何よりもサービスをする側の当事者意識を込めての呼称と捉えています。 私たちはあくまでも何かを「してあげている」のではなくて、「させていただく」機会をもらっている立場です。 良いサービスを提供しているからお客様が使ってくださるのではなく、「あ

相手の期待に応える

私たちは職業としてサービスを提供する側にはいますが、プライベートの場面においては自分自身がサービスを利用する側になることも当然多くあります。 商品を購入する際、レストランを利用する際など様々な場面がありますが、自分がお客様の立場になった途端に知らず知らずのうちに常に無意識に持ってしまう感情があるはずです。 それは、これから購入する商品やこれから受けるサービスに対する「期待」です。 その期待は、「せめてこれくらいはしてくれるだろう」という対象に対して構えたハードルでもあり

理想と目的と目標の違い その2

当社では、日々の朝礼時や毎月のミーティング時に会社の経営方針書という冊子を複数ページ読み上げるという文化があります。 数ページは、その都度読み進めていきますが、毎回必ず読む決められたページもあります。 必ず読むのは、理想・目的・目標を掲げたビジョンのページと、役割・使命を掲げたミッションのページ。 ビジョンやミッションの意味や、当社におけるその内容については、すでにこれまでに触れてきていますので割愛しますが、今回はこのビジョンの内訳である「理想」と「目的」と「目標」の違

足るを知る その2

"世界でもっとも貧しい大統領"として知られるウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカ氏が、2012年の地球サミットで行った名演説があります。 以下一部抜粋となります。 私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球へやってきたのです。 人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。ハイパー消費が世界を壊しているにも関わらず、高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出しているのです。消費が世界のモーターとな

クレーム報告について

前回、お客様からのお叱りについて少し触れましたので、今回はクレーム報告の在り方について。 「こんなのはクレームじゃない」という判断をして、拠点長がいつまでたっても報告をしてこないという問題もありますが、これは「いつもと違うことを言われたら、それは全てクレームとして捉えて報告をする」という方針を定めて落とし込んでいけばいいです。 そして、クレーム報告の肝は、問題が特定できているかどうかです。 前述したとおり、問題意識の薄い拠点長とかですと、いつもと違うことは言われているの

当たり前は求めない

お客様からサービスの対応に対してのお叱りをいただきました。 本部で受け付けた際に言われたのは、これまでも拠点の方には再三言い続けてきた、とのことでした。 当社には、お客様からご指摘を受けた内容はクレームとして捉えて、そのクレームは必ず報告するという方針があり、「クレーム報告書」という書式も用意があります。 ところが、この件については、これまでに拠点から上がってきた履歴はありませんでした。 拠点長に確認してみると、「私はそれをクレームとしては捉えていません」との回答が。

加算の取得について

なかなかここで書かせていただくには勇気のいるテーマなのですが・・・。 私たちの業界における保険制度には、様々な加算の要件があります。 そして、その事業所が要件を満たしていれば、通常のサービス単価に加算分の単価を加えることができるようになります。 この時に、こういった加算によるサービス料金の割り増しをどのように捉えるか。もっと言えば、サービスをご利用されるお客様にどのように説明をしていくか。 自社サービスであれば当然ですが加算の意味合いの説明と、それが可能となる体制要件

そこに意志はあるのか

何かの宣伝の文句のようですが、今回は真面目に私たちの仕事、介護についてのお話です。 おかげをもちまして、このコロナ禍の状況下においても、在宅というのはクラスターが発生しやすい施設環境に比べると比較的安心して過ごせる最後の砦でもあるからか、サービスの需要は少しずつ伸びております。 そういった中だからこそ、サービスのご依頼をいただいたお客様をきちんと守れているかどうかが重要です。 ここで言う「守る」とは、バカの一つ覚えのように繰り返し言い続けております、「お客様の活動量を増