シは消えヒトえ
僕は、御手洗 一。
この名前のおかげで小さい頃からよく
揶揄われたり小バカにされたりしてきた。
”おい、はやくトイレいってこいよ!”とか。
”おまえ、便所が一番スキなんだろ笑”とか。
親に訴えると「由来は洗い清めるって意味だからいい苗字なんだぞ」と諭されたけど、僕自身は納得いかないままだった。
そんな僕もー。
この春から関西にあるIT企業に就職。
中小とはいえ、そこそこの従業員数。
社外の方との顔合わせもあり、
名前の話題でたびたび億劫になることも・・。
ある日ー。
この日はうちの企画部係長、恩地 太袈支さんと話す機会があった。
『きみ、名前は?』
「御手洗 一です」
『・・とてもよき名だ。”完全”だね』
「?」
意味がわからなかった。自分の名前を言ってこのような反応をされたのは初めてで、内心驚きつつ、僕は思わずこう尋ねた。
「か、完全ってどういう意味ですか?」
恩地さんは、
少しの間沈黙したあと話し始めた。
『言葉じゃうまく言えないけど、例えばどんなにいいプログラム組んでもそのプログラム単体じゃ動くものも動かなくてさ。電源や照明…ま、光がないとハードでもあるPCやタブレット、スマホもシんでるのと同じじゃない?』
「・・それは仰る通りですが、完全とは??」
『”観たら死はじめ”は、決まっているシを生きる者なのかそれを照らす者なのか。・・梵我一如って知らない?』
「え🙄・・」
『たしかに生まれた瞬間、見た瞬間にシははじまってる。イチの化身でもある人間はその縁の内側で喜怒哀楽を楽しむ。病んだり闇落ちしながらもまた笑顔になったり。闇は光を理解できないけど、実はそのすべては本当の御手洗さんっていうイチなる光にシメられてる。色即是空の空ともよばれる一・・いつも霊止に光は在る。御手洗さんの名前って人の生まれた意味そのものなんだよね』
「人のうまれた意味そのもの・・」
『いい名だよ。HAは広がる光。SHIは集成、結び。MEはエネルギーが集まる点。光とはほんとうのあなたのこと。人間が帰るべき根源。つまり我が家みたいな名前だね😉』
「あ、ありがとうございます。名前を褒められた?のははじめてで・・その嬉しいといいますか」
『褒めたのはあなたのことじゃない。すべてのあなたのことさ』
「?」
『仕事にしろプライベートにしろ日々の生活の中でもし、煩うようなトキは、スマホの画面側から自分のほうを観てごらん。そこにはどこにも自他の境界なんてないから。そうやって真我を忘れなければ、目に見えてるものじゃなく、その真ん中のスペースがどこまでも広がってることにも気づくさ』
正直、よくわからなかった。
しかし三年後ー。
僕はこのトキの意味を理解する。
もう愛だから。
もう光だから。
だからこそ。
あらゆる枠を取り払って。
もっと自由に生きなされ。
あなたを苦しめるその観念は。
ほんとうのあなたじゃない。
僕は、御手洗 一。
愛はここに。
光は輝く。
光とは。
人間のことだ。
『御手洗さーん、3番に電話です』
「はい、どちらさまから?」
『女性ですけどなんかすごく怒ってますよ』
(ヤヴァい・・。昨夜の彼女か・・)
「もしもし・・(ヒソヒソ)ちょと会社に電話はマズいって」
【【遊びだったワケ!?このタラシ❗❗💢】】
「いや、ちがっ・・」
【【プ!ツーツーツー】】
僕は、御手洗 一。
社内では。
女たらしいっちゃん。
なんてカゲで呼ばれてる…..。
愛ゆえに愛が愛に愛という光を・・。 あなたにいつも拈華微笑💖