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悩んだら、ソープへ行け。

かつてホットドッグプレスで連載していた北方謙三先生の青春相談『試みの地平線』の名言(迷言?)をご存じだろうか。

現代の感覚とはズレがあるかもしれないが、若者の悩みをとにかくストレートな回答で一刀両断していくのが面白い。

「ソープへ行け!」はとりわけ有名な回答だが、十数年前北方先生のサイン会に行った時、前に並んでいる青年の「作家になりたいのですが」という相談に、先生は「私の本に『試みの地平線』というのがあってね……その中の回答で有名なのがあるんだ。そこへ行け」と答えていて、俺は笑いをこらえるのに必死だった。

作家になりたいという青年の相談に「ソープへ行け」ときた。
しかし俺は笑いをこらえながらも、あながち的外れではない気がしていた。


【ソープに行って良かった例】


30歳になっても童貞の後輩がいた。
前職をうつで退職し、再就職したが、やはりまだ精神が不安定なところのある男だ。
俺は『試みの地平線』の受け売りで「童貞なんてものは濡れたシャツみたいなもんだ。早く脱いでしまえ」と後輩に言った。

ソープで童貞を捨てた後輩はすっかりハマってしまい、毎週通うようになった。
飲み会の後「俺、これからソープ行きます。ヤマさんもどうですか」なんて言ってくる始末だ。
毎週風俗に通うのもどうか、と思ったが、彼は大企業の社員なので経済的に余裕がある。そして、闊達になった。
すっかり疎遠になったが、きっと彼は元気にやっているだろう。
ソープへ行ったことで、彼はポジティブな気持ちになれたのだ。
そう思っておく。

【ソープなんか行かなきゃよかった例】


俺自身、数えるほどだがソープへ行ったことはある。
若いころはモテたので、性欲を持て余すこともなかったが、何事も経験だ。
初めてのソープは事前に色々と下調べして好みの女の子を指名、それなりに楽しめたが、料金は決して安いものではなかった。
たった2時間で数万円も払うのか、と賢者モードになった時に思った。

まあ、これはまだいい。いちおう楽しめたのだ。
指名なしのフリーでハズレを引いた時のガッカリ感、これは本当に時間も金も損した気分になる。

ああ、こんなだったら服や靴を買った方がよかったな、とか、飲みに行けばよかったな、とかむなしい気持ちになり、帰宅後はパソコンに向かい小説を書いたり、漫画の原作を考えたりした。
ネガティブな気持ちを創作に向けたのだ。

まあ俺の創作は趣味の域を出ていないのだが、高校生の頃からファンだった漫画家とリアルで会うようになり、連載が終わり暇になった先生から「漫画原作やってみないか? 良いのが出来たら俺がネームにするから、それを出版社に持って行こうぜ」と声をかけて貰えた。

その道数十年の先生からのダメ出しは厳しく、俺は何十本と話を考え、ようやく描いていただいたネームをいろんな漫画誌の編集部に送った。
実際に足を運んだ編集部もいくつかあり、先生と2人で行った編集部もある。
結局ボツで、その後先生は新連載が始まり、俺は相変わらずアマチュア物書きのままだが、その後もたまに何か考えろと言われ、考えてはダメ出しされるというのを繰り返してる。まあ結果が出ないのは俺の力が足りないからだ。

閑話休題、創作に向かうエネルギーを、俺は負の感情から得ることが多い。

漫画、小説、音楽、いろいろやってどれも素人の域は出ないが、フラストレーションを創作に昇華する、というのは、ある意味健全ではないだろうか。
ソープなんて行かなきゃよかった、という気持ちになれたことで、逆説的に行ってよかったと思えるのだ……たぶん。

だから、うじうじ悩むくらいなら、ソープへ行ってスッキリしろ。
それでもスッキリできなかったら、その感情を何か他のことにぶつければいい。

悩んだら、ソープへ行け!

いい回答じゃないか、と俺は思うな。


なに、金欠?
ピンサロへ行け!

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