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チェンソーマンの感想と色々な漫画技法について

漫画チェンソーマンの5巻と8巻のみを読んだ感想と漫画技法の分析です。コマとコマの間合が映画っぽいなと思いました。アクションがカッコイイです。絵の繋りの意味が分からないのに、何故か分かっているという不思議な所があると思います。どうしこういうのが面白く見えるのか考えてみました。


マキマさんとノーリアクション

5巻と8巻を読んだだけだけどマキマさんはとてもカッコよくて、とてもミステリアスです。表情をあまり動かさないノーリアクションな所が好きです。

ノーリアクションとはこんな感じです。何かがあったのに表情を動かさないので、何を考えているのか気になってしまう感じです。マキマさんはあまり表情を動かさないですが、デンジとのデートで映画を見て涙を流すシーンがあります。こういう所がとてもミステリアスです。

絵だけのソロパート

チェンソーマンを読んで映画っぽいと思う所が あるのは、セリフのついてないノーリアクションや、かすかなリアクションのコマがあるからだと思います。

それをこんな風に譜面にして表してみました。赤でかこった所が、絵のソロパートです。 フキダシの付いてないサイレントの部分です。チェンソーマンではこういう所が随所に見られます。会話の合間に使われています。その部分は何かな?と、とても惹かれます。 つまり、サイレントの間(あいだ)を作れるセリフ使いをしていると思います。見せゴマを配置するために隙間をうまく埋めているのかもとも思います。凄いです。

そして、その絵のソロパートはシナリオにするとト書きの部分のようです。(ト書きとはシナリオを書く時にセリフ以外の情景を説明する文章です)それを説明するために、直似をして上のコマとそのシナリオを描きました。シナリオのサイレント部分に赤マーカーを引きました。この部分はセリフがない所です。キャラAの動作に意味がありそうに見えたらいいです。映画はセリフなしの沈黙が多いと 聞いたことがあります。チョンリーマンが映画っぽく見えるのはこういう風なサイレント部分があるからだと思います。とても素敵な部分と思います。

顔のないアクションシーン

初めはチェンソーマンには顔がないので、その分アクションが 多いのではと考えました。でも顔のある他のキャラが アクションしても同じようにアクションが多いです。つまり 顔の表情をあまり使わずにアクションさせてます。凄いです。

そのアクションを解説しようと考えました。作中でよく使われているのが上のこの2つです。1個目は、残象という動いていることを表すオノマトペです。カメラに映るような自然な残象が使われ ています。 2個目は、2視点です。コマ内に2つ視線を引く所があるコマのことです。上のコマにはピンクの三角で色をつけてその視点になるところに印をつけました。1コマに2つ目を引くところがあります。チェンソーマンではこの2つを組み合わせて沢山の動きを表していると思います。

こんな風です。 残象で動いてる人物や物が何をしているのか分かります。2視点あることで動きの意味が分かります。ドアから駆け出してきたり、木を切ったりしてるのが分かると思います。チェンソーマンでも、色々切ったり、タイマンで相手を投げ飛ばしたりしてるのが2視点と残像で描かれていると思います。 こういうのは、動きを表現できて、その動きの前後も想像できると思います。チェンソーマンではこういうのが連続して使われています。頑張って真似して次のコマを描いて見ました。

どうでしょうか。2視点と残象で出来たコマが動きで複数繋がるように並べるとこんな風になります。 デンジVS サムライソードやレゼが男を絞める所がこんな風になってると思います。上のコマを説明しますと、何かにつまずく→青の点線のコマ間で回転してるのが分かる→逆立ちで跳ねる→赤の点線のコマ間でさらに回転して着地しようとしてるのが分かる→着地がグラついてしりもちをつきそう。と、なります。コマ中とコマの間にも動きがあり、たくさん動きます。コマ間の動きの省略をうまく使っているともいえます。

場面転換の不条理

チェンソーマンでは絵の繋りの意味が分からないの に分かっている。と、いう不思議な所があります。そういう所がとても面白いと思います。真似して頑張って描いたので、説明します。

こんな感じです。ドアの取っ手を引いたらドアが消えて星空になって、その下に草原と家が表れるといったコマ繋がりです。ドアの向こうが一面に星空なのは、不条理に感じます。5巻のアキが幽霊の悪魔に踏み込むシーンの花畑や、8巻の地獄への場面転換がこんな風になっていると思われます。これはコマ内の要素の入れかえをしているのでこういう感じになります。

こんな感じです。簡単な絵の繋がりにしました。1つの要素を残しつつ絵の要素を入れかえてます。入れ替える絵の意味が似たものじゃないと不条理や詩的に感じると思います。反対に意味が似た絵だと自然な繋がりになると思われます。チェンソーマンの地獄への場面転換は、手とデパート→手と草地の地面→地面と一面のドアの群、と入れ替えて移動させています。とても不条理で面白いです。分からないのに分かるのはこういう風に絵が入れ替わっているからだと思います。

まとめ

さて、まとめです。チェンソーマンにはセリフの間を、サイレントの絵でみせる所があります。絵の繋がりで沢山の動きをみせるアクションの所もあります。不思議な絵の繋がりでみせる不条理で詩的な所もあります。つまり、絵がとても凄いです。それが分かるだけで3種類もあります。そしてキャラ達もとても魅力的です。5巻と8巻しか読んでませんが他の巻も気になります。

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