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フランスの年金改革抗議デモ

仕事でパリに来ています。数日だけの短い滞在ですが。

先週のメーデー(5月1日)には、フランス各地で年金制度の改革に反対する抗議デモがかなりの規模であったらしいので、フライトに支障がでるかと心配していましたが大丈夫でした。とりあえず、抗議デモはいち段落したみたいです。

というか、改革法案は4月にすでに成立しているので、デモったところでどうしようもないんじゃないでしょうか。

通常なら、私は、政府の不当な政策に対して国民が声を挙げて抗議行動にでることについては賛成です。それは国民の権利であるし、国は国民の権利を守る義務があります。

でもねー、今回のフランス年金制度改革に対する一連の抗議デモについてはイマイチ賛同しかねます。というのも、フランス政府が決定した、「年金の受給年齢を62歳から64歳に引き上げる」って妥当じゃないですか?
高齢化が進む先進国のほとんどは、年金制度を改革しないと破綻します。

ただし、マクロン大統領の決め方が強行すぎた、という問題はあります。
今回、マクロン大統領が憲法の「第49条3項」を発動したということは、いわば政府が、下院での採決をすっとばして、「うっせー、ザコは黙ってやがれ」みたいな勢いで決めたかたちです。

フランスは他のEU先進諸国に比べると失業率が高いので、その辺もデモの要因になってるのかな、とも思いますが、どうなんでしょうか。私の研究分野は年金政策でもフランス研究でもないので、100% テキトーに言ってます。

ためしに地元のフランス人研究者に意見に聞いてみると、年金の受給年齢が2年遅らされるって事だけが問題じゃないみたいです。

いわく、
「改革の進め方が民主的でない」
「弱者救済の道が整えられていない」
「現政権は国民の意見を真剣に聞いていない」

ようするに、国民は、受給年齢の引き上げ自体に怒っているというより、政府のやり方に納得いかないので、抗議を続けているのだ、とのこと。

ふーん・。・
なんか全然、いち段落してないっぽい。

デモってる人達にもいろいろタイプがあるので一概に言えませんが、国の歴史上、革命を通して民主主義を獲得してきた国は、一般市民のデモへの意気込みがなんだか違う気がします。

ちなみに日本の戦後民主主義は、GHQ影響下で確立されたものです。
いわば棚ボタ式に民主主義を「与えられた」日本の国民は、フランスと比べると、いろんな局面で聞き分けがよすぎるのかも知れません。

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