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【エッセイ】「正しい」日本語

 先日、アップしたこちらの詩。

 この詩の四行目、じつはアップした後、しばらく経ってから修正しました。

修正前「存在していたりして」 → 修正後「存在してたりして」

 違いは「い」です。「い」を抜きました。いわゆる「い抜き言葉」にしたんです。

 もともと、最初に浮かんだ文章が「してたりして」の方でした。でも、ふっと「いや、これって『い抜き』だよな……」と思考がよぎって、「い」を入れました。こっちの方が、日本語的には正しいし、と。

 だけど、しだいに違和感が増します。
 自分が撮った写真から得た感覚を表すのに、最初に浮かんだ感覚は「してたりして」の方だった。最初に浮かんだ「僕」という一人称と合わせると、やっぱり「い抜き」のラフさの方がふさわしいんじゃないだろうか……

 というわけで、元に戻しました。

 小説を書いているときも、キャラクターに応じて使い分けるよう心がけています。奔放なキャラなら、あえて「い抜き」や「ら抜き」を使うし、真面目なキャラならその逆にして、硬い口調にみえるようにする。

 表したいことにふさわしい言葉が、「正しい」とは限らない。
 だけど、「正しい」なんて必要ない、ということでもない。

 表現したいことに、ふさわしいかどうか。
 いちばん大事なのは、そこだと私は思っています。

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