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【エッセイ】人のいない地球を観る

 私の特技?に、人のいない地球の姿を感じられることがあります。

 どういうことかというと、ビル街だろうが、住宅地だろうが、自然のないところでも、人がいないとしたら、こんな感じだろう、というのをありありと想像することができるのです。

 まだ人がいない様子を想像することもできるし、街から人がいなくなって、建物が少しずつ崩れていって、最後には大地に還っていく様子を想像することもできます。

 あまり他人に話したことはありません。なぜなら、多少想像力をはたらかせれば誰でもできることだと思っていたからです。「私は呼吸ができます」とわざわざ他人に言ったりしないのと同じで。
 あるとき、なんの話の流れかで、そういう話を他人にしたら、たいそう驚かれました。普通は、あまりそういうこと考えないものなのでしょうか。

 私がリアルにそういうビジョン的なものを感じてしまうのは、私の祖父母が住んでいた山村での経験があるからかもしれません。
 ふもとから車で20分、さらに歩いて山を登って15分ほどかかるような山村でした。私が幼い頃は、まだまだ人が住んでいて、そこには暮らしがありました。しかし、時代の流れもあり、祖父母も含めて次第に住人は山を下り、ついには誰もいなくなりました。

 確かにあった人の暮らしが、次第に朽ちて、消えていく様をまざまざと私は見てきた。その経験からではないかと思っています。

 だからでしょうか、私はよく、人のいない地球のことを考えてしまうのです。

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