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2024年5月の記事一覧
[短編絵物語] 絵の中からきた少女、そして二人は絵の中へ消えた
「コトン」と小さな音がして白い封筒がドアの下に落ちた。
「郵便だ。陽子からかな?」
バラの花を描いていた絵筆をおくと、カップに熱いコーヒーをそそぎ、手紙をとりにいった。
ぼくは、美術学校を出て半年の、絵描きのたまごだった。
近所の画材店で絵を売ってもらい、どうにか暮らしはじめたところだった。
まだまだとても、まともに生活していくほどの収入はなかったが、こうして好きな絵を描いてさえいられ