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輝詠(BL小説)

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葛城煌さまのBL小説『非天の華』に登場する設楽輝信様の新たな恋を書かせていただきました。BL小説です!
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2020年7月の記事一覧

旅の終着 終章

詠心は輝信の屋敷で生活を始めても二、三日に一度、都を訪れている。以前程の頻度ではないが…

宮野葉月
4年前
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(BL小説)旅の終着 最終話

 輝信の元に帰った翌日、詠心が目を覚ましたのは巳四つ――昼近くだった。初めて輝信と共寝…

宮野葉月
4年前
2

(BL小説)旅の終着 第七話

―設楽様の為に生きよう。私はあの御方と共に生きるのだ―  もう決めたのだ。七瀬を巡って…

宮野葉月
4年前
1

(BL小説)旅の終着 第六話

―熱いな―  唇を吸われながら、他人事であるかのように詠心は思った。想像していた、ぬる…

宮野葉月
4年前
3

(BL小説)旅の終着 第五話

「ほんとは留守番してもらおう思ったが、連れてきて正解だな。根城を探す手間が省けた」  …

宮野葉月
4年前
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(BL小説)旅の終着 第四話

 笛吹きの旅人、詠心の噂が都でちらほらと流れるようになった。半分は千里が布教したものだ…

宮野葉月
4年前
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(BL小説)旅の終着 第三話

 出逢ってから約半年後。それは詠心は輝信に与えられ続けた食事のお陰で標準的な体重に戻り、書の写しを譲られて知識も増えた頃の事である。 「あんた、俺のものにならないか?」  唐突に輝信はそう言った。詠心の身なりを指摘した次の言葉だった。この男もか……詠心は輝信に寄り添おうとした気持ちが一気に冷めるのを感じる。そして無礼にも一気に嫌悪感を露わにして答えた。 「私如きの賤しい者は貴方様には似合いませぬ。ましてや跡継ぎも産めない男に御座います」 「衆道なんさ珍しくもないだろ。俺は

(BL小説)旅の終着 第二話

 帰り際、詠心は輝信に曲の礼にと金を持たされた。詠心は頭を低くして有難く頂戴する。 「…

宮野葉月
4年前
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(BL小説)旅の終着

「もうこのような季節だったか」  萩の花が咲いたのに気付いた詠心は独り呟いた。母の死後…

宮野葉月
4年前
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旅の終着 序章

 本当は付き合うつもりも、ましてや生涯寄り添うつもりもなかった。奔放で大胆なあの方を初…

宮野葉月
4年前
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笛の音の邂逅 終章

 季節が何度巡っても、風花の舞う季節は思い出す。天下を獲った男達の最期を。それを大夫に…

宮野葉月
4年前
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(BL小説)笛の音の邂逅 最終話

 それから更に十日後、何の前触れも無く詠心と名乗る男が輝信の住む城に訪れた。だが体格や…

宮野葉月
4年前
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(BL小説)笛の音の邂逅 第七話

 結局、まだ二人の関係はさほど進展していない。三回に一回くらいは隙をついて詠心の唇を奪…

宮野葉月
4年前
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(BL小説)笛の音の邂逅 第六話

 ドン、と輝信は尻餅をついた。詠心に突き飛ばされたのだ。詠心は一瞬怯えた顔を見せ、そして慌てて輝信に詫びた。 ―そう上手くはいかねえか―  予想はしていた。そんな簡単に事が運ぶなら詠心は遠の昔に輝信に抱かれていた。  詠心は嘘を吐いていたのではない。生真面目で根が正直な質だから、本気で輝信に自分自身を捧げようとしていた。だが、身体が拒んだのだろう。詠心は申し訳なさそうに肩を落とした。 「申し訳……ありませぬ」  詠心は必死に言葉を探し、輝信に投げかけた。だがそれらは輝信の