(BL小説)旅の終着 第三話
出逢ってから約半年後。それは詠心は輝信に与えられ続けた食事のお陰で標準的な体重に戻り、書の写しを譲られて知識も増えた頃の事である。
「あんた、俺のものにならないか?」
唐突に輝信はそう言った。詠心の身なりを指摘した次の言葉だった。この男もか……詠心は輝信に寄り添おうとした気持ちが一気に冷めるのを感じる。そして無礼にも一気に嫌悪感を露わにして答えた。
「私如きの賤しい者は貴方様には似合いませぬ。ましてや跡継ぎも産めない男に御座います」
「衆道なんさ珍しくもないだろ。俺は