旅の終着 序章

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 本当は付き合うつもりも、ましてや生涯寄り添うつもりもなかった。奔放で大胆なあの方を初めは物好きだと思った。自分を守る為にわざと小汚くしていたのに、それでもしつこいくらいに口説かれた。けれどあの方の伴侶になると決めたときに気付いたのだ。本当に嫌っていたのなら、知らないうちにまた何処か遠くへ旅に出れば良いものを、ずっと都に留まり続けて頼みに応じ続けていたいた私も私だったのだと。自分でも気付かぬ間に惹かれていた事を――

第一話は明日、7月8日公開予定です


【人物紹介】

詠心……『旅の終着』の主人公。笛吹きの旅人。好きなことは知らない町に行くこと、散策すること。嫌いなことは他人に情欲を向けられること

設楽輝信……九神政権の執政。元は「白勢の鬼神」こと、白勢頼隆を好いていたが、いつの間にか詠心に惚れ、熱心に口説き続ける。西洋の血が流れている。直義、頼隆が逝った後の世を任された。

白勢頼隆(故)……白勢の鬼神と称された男。原作『非天の華』の主人公であり、輝信が以前執着していた男。九神直義の妻。輝信曰く別嬪。

九神直義(故)……頼隆の旦那。天下統一を果たした男。自分亡き後の全てを輝信に托した。頼隆に異常な執着を見せ、見事に手懐けた。

原作はこちら

『非天の華』著 : 葛城 惶


原作…葛城 惶さま(@1962nekomata)

表紙…松本コウさま(@oyakoukoudesu1)